Educedia(エデュケディア)

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Eduさんぽ vol.1 「生き残りに必要な力を育む」

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(「みんな平等なんてない」「権威も間違える」「闘い方」「人に自分を支援してもらう」)[画=photoAC/acworks

[Eduさんぽ]では、学びの過程で生まれた、考え・論考を綴ります。あくまでもエデュケディア主宰者の、思索途中の表現、思考の"さんぽ"としてお読みください。

現行の学習指導要領に名付けられた副題「生きる力」。くぼ個人は「生き残りに必要な力」と言い換え、教科外で子どもが学ぶべき、習得すべきことは何か、というテーマで、思索を続けています。ここから綴る考えは、適切な教育段階や方法を選ばなければならないと考えます。家庭教育や生徒指導の一つの参考となれば幸いです。

学習指導要領には載らない「生き残りに必要な力」

「みんな平等」なんてない

生きていく中で、少しずつ子どもが理解していかなければならないことは、他者との差異だと、くぼ個人は考えています。

男女・貧富・そのほか世の中の格差、自分の能力も友人と比べると高い低いの"差"があること、そして自分にも負けているものがある、ということ。これらをリアリティを持って自覚できるか...難しいことですよね。

でも、どうにもならない差がある今の状況をまず認識することで、子どもにも様々な教えが浸透するのではと思います。「みんな平等」なんてない。自分が恵まれていることもあれば、恵まれていないこともある。親心では、どうしても恵まれた点だけを見せ・伸ばしてあげたくなります。しかし、くぼは早い段階で、恵まれていないものもあることについて、現状を理解させたい。悲観的に捉えるのではなく、乗り越えるため努力を惜しまず知恵をしぼる積極的な姿勢を身につけなければ、自分の力で個人の幸せを掴める大人にはなれないのではないか、と思うわけです。

大人もたくさん間違える

「親・先生の言うことを聞きなさい」。子どもにここからステップアップさせるタイミングを、どう周囲が見極めるか。

社会に出るにあたっては、権威との向き合い方を学ぶ必要があります。親・教師・企業・上司・政府・医者・士業であっても間違えることは(大量に)あり、その間違いが子ども自身の人生にとって致命的なダメージになることもあります。だから自分の頭で考えて・行動し・時には闘うことが重要になります。極端な見方かもしれませんが、親や先生の前では自分の意思が曖昧になる、流されてしまうようでは、将来いわゆる"パワハラ・セクハラ上司"に対しても意思が曖昧になる可能性があると思っています。

殴り返す・逃げる・避ける・支援を求める

殴り返す、とは少し過激な表現かもしれません、敢えて使っています。上に重ねて、友人・権威を含め、人は闘うべき時があると教えることも重要かな、と思います。

人生、精神的にも「殴られる」ことはたくさんあります。そんな時に殴り返すか・全力で逃げるか、そもそも「殴られそうだな」と早めに判断して避けられるか。闘いに直面した時・する前に、どう判断するかを教えなければなりません。

例えばイジメにあったら、逃げることは恥ずかしいことではないこと。例えば痴漢にあったら、相手にどう抵抗するか・痴漢に遭わない方法をどう考えるか。

そして何より大切なことは、殴り返す・逃げる・避けるを自分の意思で行いつつ、困った時に自発的に周囲に支援を求めること。何とかするのは最終的には、自分です。しかし、支援や協力を求める、相談することで、自分の能力を超えて力や知恵が得られることも多いと知ることは重要ですよね。しかし「助けてください」だけでは、相手の理解と支援が得られるかは分かりません。相手が自分を支援してくれるように動かすことを学ばなければならないとも思います。自分の置かれた状況をどう理解してもらうのか、それも自分の責任なのです。

そしてこれらは、周囲との小さな衝突で済んでいる内に教えていくことが重要だと考えます。

仮説を立てて調べる

テレビをつければ勝手に情報が再生され、学校に行けば先生が授業を再生してくれる。こうした環境の中でも、本を読む、ネットで検索するなど、自ら知識や情報を得る姿勢を培うことが重要です。しかしここまでは、政府が推進する「主体的な学び」で網羅されます。

そこで一歩進んで、特に子ども自分の関心が薄いこと、知識が浅い領域に対して、どういう角度から情報を調べれば良いのか、ということを教えると良いのでは、と考えています。例えば、就職活動になってから、企業研究に戸惑う学生は多いもの。大学での学習など、自身の興味範囲や学習の延長にあることについて調べる機会は多いのですが、自分の世界の外にあるものを調べるのは、誰にだって難しいのです。

だからこそ、存在を知らない、「調べるのもちょっと面倒くさいな」と思うようなものについても、何か問題や課題にぶつかった際に、「もしかするとこういう情報・知識・制度があるかもしれない」と仮説を立てて調べることを教えなければなりません。単に調べなさい、ではなく、仮説の立て方を教えることがポイントになります。(いわゆる社会人でも要求される仮説設定力になると思いますが、ここについては後日、くぼの考えをまとめます)

自暴自棄になったら真の「負け」

人生、心が折れること・諦めたくなることはあると思います。だからそういう時に、支えてくれる人を作っておくことがとても重要です。

ここで、くぼが言いたい「自暴自棄」とは、自分を大切にしよう・良くあろうとする心を失うことです。自分を大切にしよう・良くあろうとする人には、周囲の人も力を貸してくれます。何故なら周囲の支援を、本人が望んで引き寄せられるからです。

しかし自暴自棄というのは、周囲の支援すらも拒絶する・運良く支援を申し出てくれる他者の善意に依存することです。自暴自棄の人を支える他者の力には限りがあります。だから、そうなってしまったら本当に助からない、まさしく人生最悪の敗北になることを、どれだけリアリティを持って教えられるか、が重要だと考えます。

 

話は冒頭に戻ります。「みんな平等」などいう世界は無く、誰しも、必ず弱い立場に立たされることがあります。そして、権威や自分が正しいと思っているものが絶対善であるとも限りません。

そんな時にも生き残っていくためには、①その現実をフラットに受け止め②(自ら知識・情報を得ることも含めた)努力を行い、③闘い方(殴り返す・逃げる・避ける)を工夫し、④人に自分を支援してもらうように仕向ける力が必要になります。

そしてこれらの力の源は、自分自身は自らだけが支えられるんだ、という強い覚悟です。この覚悟をどう青年期までに備え、上記した4つの基礎力を培うかが、子どもに「生き残りに必要な力」を育むにあたり問われるかな、と思う次第です。

今日は「(個人が)生き残るために必要な力」をテーマに考えを綴りました。

[文責=くぼようこ]

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