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イギリス 教育制度まとめ | シックス・フォームとは

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(イギリスでは5歳から義務教育がスタート。最後の2年間は大学準備のためのシックス・フォームか、職業訓練をフルタイムまたはパートタイムで受けることとなる。大学は3年間と短い。)[画=photoAC/きなこもち

文科省発表「諸外国の教育統計平成29(2017)年版」を基に、諸外国の教育制度をまとめます。今日はイギリスの教育制度をテーマに見ていきます。

イギリスの学校制度

イギリスの義務教育は5歳〜18歳までの「6−5−2」制の13年間。日本や米国に比べ1年長く設定されています。

2012年までは16歳までの11年間でむしろ短かったのですが、就学期間を延長することで生涯賃金の増加や健康維持、反社会的行動の抑止に繋がることから、段階的に延長され、2015年から18歳までとなりました。

中等学校卒業後も義務教育は続く

初等教育は5〜6歳(Y1〜2)のインファントスクール、7〜11歳(Y3〜7)までのジュニアスクールの計6年間があり、中等教育は11〜16歳の5年間です。

16歳になり中等学校を卒業すれば、その後はフルタイムでの通学を続けるか否かはそれぞれの判断に委ねられるのが大きな特徴です。

大学進学希望者はシックス・フォームと呼ばれる2年間の学習課程に移行します。大学に進学しない人は、義務教育終了までの2年間はパートタイムの教育または職業訓練を受けることになります。

またイギリス には日本同様、飛び級も留年も実質ありません

 

▽イギリスの学校系統図

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継続教育カレッジ

大学に進学しない学生は、職業訓練を通じ準学士資格を取得できる継続教育カレッジに進学するか、仕事現場で賃金をもらいながら職業訓練(OJT)を受けます。継続教育カレッジの入学生は中等学校卒業生の3割程度です。

継続教育カレッジなどでの職業訓練を通じ、学生はNVQ(National Vocational Qualifications:全国職業資格)を取得することもあります。

NVQには、製造業や建設業、介護福祉など、様々な分野における職業資格が定められています。普及率はイギリス国民の約14%程度。5段階のレベル判定があり、資格取得によって職場でのより高い評価を得るなどベネフィットがあります。 

シックス・フォーム

大学進学を希望する学生は、中等学校を卒業後、中等学校に附属されていることが多い、シックス・フォームに進みます。

そこで1年目に"AS"、そして2年目の学期末に"Aレベル"と呼ばれる統一試験を受験し、その結果をもって希望大学への進学可否が決まります。シックス・フォームへの進学者は中等学校卒業者の5割弱程度です。

高等教育の日英比較

ここまでイギリスの義務教育段階を中心に見ていきました。ここから大学での教育について、数字を基に見ていきます。

大学・短大進学率

日本:大学・短大進学率 56.8%H28学校基本調査より)

イギリス :大学・短大進学率 63%教育再生実行会議資料より)

イギリスにおいても米国などと同様に、大学への進学率の向上が国際的な競争力の基盤になるとして重視されています。イギリスの大学は3年制で90校ある大学の内、1校を除いて89校全てが国立です。

大学の年間授業料

日本:

国立大学 82万円

私立大学 文系115万円/理系150万円

イギリス:

年間 135万円(約9,000英ポンド)

イギリスの大学はほぼ全てが国立大学の割には、日本に比べやや高額です。

1997年までは無償でしたが、1998年には1,000英ポンド、2012年からは法定授業料が年間6,000英ポンド、最高9,000英ポンドまで引き上げられました。

いずれの大学も、ほぼ最高額の9,000英ポンドを設定しています。ちなみに上記はフルタイムの学生の金額で、パートタイムは101万円(6,750英ポンド)、職業訓練は67.5万円(4,500英ポンド)となります。

当然ながら上記金額はイギリス外の学生には適用されず、大学独自に設定できることとなっています。

イギリスの学校制度を見ていくと、日本より1年早く義務教育がスタートし、16歳を迎えると緩やかに学校から離れていくことが分かります。

イギリスの大学入試制度についてはこちらの記事でも紹介していますので、ぜひ参照してみてください。

[文責=くぼようこ]

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