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レジリエンス(再起力)とは | 生き残る力を育む

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(心は強く硬くなくて良い。落ち込んでも挫折しても、しなやかで起き上がる心の力「レジリエンス」の身につけ方とは。)[画=photoAC/acworks

災害・事故・事件被害や、過重労働、パワハラ、セクハラによる職場うつ、人間関係の悩みやいじめ・からかい、受験や部活の失敗などによる挫折…。子どもも大人も、日常から数多くのストレスに晒されています。社員のメンタルヘルスや、仕事に疲れを感じた人のセルフケア、子どもの教育にも欠かせない「レジリエンス(再起力)」について紹介します。

レジリエンス(再起力)とは?

レジリエンスとは、困難な状況に面した際に、しなやかに立ち上がる心の力のこと。再起力や逆境力、「折れない心」などと言い換えられます。

うつを含め、ストレスに伴う様々な心身の不調を訴える方は年間320万人以上いると言われています。(参考:精神疾患のデータ|専門的な情報|メンタルヘルス|厚生労働省

メディアでも職場うつやプチうつがキーワードとして取り上げられ、メンタルヘルスのチェックが企業に義務化される中で、心のしなやかさを意味する「レジリエンス(再起力)」にも注目が集まっている、というわけです。 

ナチス・ドイツの被害者研究からスタート

レジリエンスに関する研究は1950年代から始まりました。きっかけは、ナチス・ドイツによるユダヤ人大虐殺「ホロコースト」の孤児に関する研究。事件からの立ち直りが人によって異なることから、レジリエンス(再起力)の違いに着目されました。

そもそもレジリエンス(再起力)の研究は、事件や災害など不特定多数を巻き込む災難苦難に対し、個人だけではなく組織や社会全体で再起していくための研究でした。それが日本では今、ストレス社会に生きる個人の立ち直り方として、注目されています。

レジリエンスを高める重要な4つの力

では、落ち込んだ時に自分を取り戻す、立て直すためにどんな力や考え方が必要なのでしょうか?レジリエンスを分解すると、主にこの4つに分けられるそうです。

・感情のコントロール一喜一憂しない
・自尊感情「自分は大切な存在だと受け入れられている」自信を持つ
・楽観性失敗する未来を想像せずおおらかに捉える
・自己効力感「これは自分にできそうだ」と信じる

これらの力は、単に心が折れないだけでなく、難しい課題に粘り強く取り組む基礎にもなります。

再起するための3つのアクション

では実際に落ち込んだ時、どんなアクションがとれるのと立ち直りが速くなるのでしょうか。辛い気持ちを抱えている本人に性急にこれらのアクションを求めるとプレッシャーになるかもしれませんが、周囲がどう対応すべきかを考える一助となりそうです。

事実を受け入れ柔軟に目標を設定する

怪我でも病気でもうつでも、心身の不具合を感じると、人はこれまで通りのことができなくなります。朝起きられない、自分の力で出来たことが出来ない...など。そうした時に、そのことに蓋をして見ないようにするのではなく、出来ないことをおおらかに受け止め、そこをスタート地点として身近な目標設定をしていくことが大切だと言います。

周囲に助けを求める、信頼する

家族や友人など、辛いことを辛い、助けて欲しいと言えるようになること。信頼関係の中で安心感を感じること。それが自己肯定感や、自分はできる、という効力感につながります。

物事を大局的に見る

心身に不具合を感じると、物事を過剰に極端にマイナスに考えがちです。例えば「うつになる→休職する→1ヶ月では回復しない→焦る→もう復帰できないのではないか不安になる→生きていけないと思う」という具合です。不安な状況をスポットで捉えてしまい、不安が心の中で増殖してしまうわけです。そんな時に、もっと大きく物事を捉えて、社会を見たり、周りを見たりすることで、極端な不安が徐々に解きほぐされていきます。

避けるべきネガティブ思考

レジリエンスの研究では、英国のイースト・ロンドン大学大学院のイローナ・ボニウェル博士がその専門家として日本国内で有名です。ボニウェル氏は避けるべきネガティブ思考として、以下の7パターンを紹介しています。

  1. 減点思考 「私には向いていない」「ほかの人の方が上手にできる」
  2. べき思考 「それはこうあるべきだ」「それは不公平だ」
  3. 悲観思考 「どうせ悪いことが起きる」「うまくいくわけがない」
  4. 無力思考 「私は歳を取り過ぎている」「ルールがあるから無理だ」
  5. 自責思考 「失敗したら人に迷惑がかかる」「失敗したら恥ずかしい」
  6. 他責思考 「私のせいじゃない」「上手くいかないのは人のせい」
  7. 無責思考 「私には関係ない」「別に興味ない」

まとめ

今日はレジリエンスについて見ていきました。家族や我が子が挫折を経験して落ち込んでいる時、病気やうつになった時、 家族や親としてどう接するべきでしょうか。

重要なことは「今の家族の状態を受け入れる」「本人も受け入れられるまで見守る」「本人を肯定する」「安心感を感じられる居場所を用意する」「些細でも本人が頑張ったことは褒める」かと感じています。

落ち込むこと、挫折することは、それ自体が悪いわけではありません。人の人生は悪い時もあれば良い時もあります。そんなバイオリズムをおおらかに受け止められると良いですね。

【参考】

“折れない心”の育て方 ~「レジリエンス」を知っていますか?~ - NHK クローズアップ現代+

「レジリエンス」の意味とは?メリットや特徴、必要性、強い個人や組織の鍛え方もご紹介 | BizHint HR(人事の悩みにヒントを届けるニュースサイト)

乳幼児期から育む、折れない心【前編】困難に負けない、レジリエンスとは|ベネッセ教育情報サイト

[文責=くぼようこ]

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