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SxSWに見るEdTechの海外事例

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(EdTechは今バズワードになっているが、アナログな業界だったからこそ注意したいのが"テクノロジーを使っているから凄い"という病)[画=photoAC/サンサン

毎年3月にテキサス・オースティンで開催されるスタートアップのイベント、SxSW(サウス・バイ・サウス・ウエスト)をご存じですか?今日は、イノベーティブなアイデアのショーケースであるSxSWに出展されたサービスから、EdTechの事例を紹介します。

SxSWに見るEdTechの海外事例 

SxSWとは1986年に始まったインディーズ・ミュージックの祭典。その後テクノロジーやスタートアップに焦点を当てたショーケースがスタートし、その中からTwitterなど世界中に広がるスター企業が生まれました。現在ではスタートアップの祭典として日本企業も多く出展しています。 

EdTechとは・技術活用は何のため?

EdTechとはEducation(教育)+Technology(技術)の造語で、簡単に言うと「教育や学習へのテクノロジー活用」。それが指す意味は広く、整理が必要です。

特にEdTechというキーワードが一人歩きする今だからこそ、目的や技術の用途を明確にすべきです。技術活用が目的化したり、よりあっと驚く技術活用が賞賛されたりする状況は避けなければなりません。

EdTechの目的は主に6つ

EdTechには現在様々な種類がありますが、大きく6つに分けられると見えます。

  • より安価に・あらゆる人に教育機会を提供する
  • 文字以外の手段を通じたより感覚的な学習体験
  • 1人1人にパーソナライズされた学習体験
  • 教育指導の効率化や質の向上
  • SNS(コミュニティ)やネットの集合知の活用
  • アナログでは実現できなかった創造性の拡張

ここから、それぞれの目的を達成するEdTechnサービス・プロダクト事例を見ていきます。

英語の発音学習アプリ「ELSA」

ELSAは2016年のSxSWEduのローンチピッチで優勝したプロダクトです。英語学習のためのアプリで、スマホのスピーカーから流れる発音を真似てマイクに話しかけると、AIが発音の正確性をチェックしてくれる、というもの。日本人が苦手な「th」の発音なども、ELSAにかかれば聞き分けて修正されるまで練習をさせてくれます。

これまでの語学学習は、教科書やテキストの文字を読み、ノートに書くなど、文字情報の処理が中心でした。個別に話す・聴く練習をしたい場合は、1時間数千円を投資して英会話スクールに通わなければなりませんでした。

それがテクノロジーの活用により、まずSkypeを通じ安く生身の人間と英語で会話ができるスクールが誕生し、さらにはAIを使って発音の正誤を正してくれるアプリが誕生したわけです。将来的には簡単な会話練習は、AIとできるようになるかもしれません。

教育アプリケーションのプラットフォーム「Clever」

 

教育現場にICTを持ち込むことで現在課題となっているのは、1クラス何十名もの生徒がいる中で、常に何かのトラブルで授業の足並みが揃わない、ということ。例えばアプリケーションにログインするだけでも、毎時間15分もの指導時間が奪われていると言います。

そこでこのCleverは300を超える教育のための様々なアプリケーションを束ね、子どもたちが1つのID・パスワードを使い、よりセキュアな環境下で利用できるようにしました。さらに児童の学習データ(成績ではなく)はそれぞれのアプリ会社にフィードバックされ、開発に役立てるようにしています。

教育現場の効率化や質向上のためにテクノロジーが活用されている事例です。

教育版"Naverまとめ"「BloomBoard」 

現在ネット上には、無料や低価格で学習できるコンテンツ・ツールがたくさんアップされています。BloomBoardはいわばそのような教育・学習コンテンツのキュレーションメディア。キュレーター達がテーマに沿って、良い学習コンテンツを紹介しています。またSNS機能もあり、同じテーマで学習する人同士が繋がり、良いツールや勉強法について教え合う場も用意されています。

VRお絵かきソフト「Tilt Brush」 

Googleが2016年に開発したVRお絵かきソフトのTilt Brushは、SxSW2017のアワードにノミネートされました。 VRゴーグルを着用することで、ブラシのデバイスを使って空間に幻想的な絵を描くことができます。Tilt Brushはテクノロジーによる創造性の拡張を実現しました。

 

今日はEdTech事例を主にSxSWEduの歴代ローンチピッチの優勝者から見ていきました。(Tilt Brushだけはイノベーションアワードからの紹介)

当然ながら、EdTechを使っているから良い教育・学習方法なわけではありません。日本国内でも、学習者の創造性や学ぶ意欲が高まり、より低いコストで誰もが公平に・効果的に学ぶことができるテクノロジーの活用が期待されます。

[文責=くぼようこ]

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