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EdTechのプライバシー問題 | EFFの調査より

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(授業で利用する様々な教育アプリケーションを通じ、子ども達のサイト閲覧履歴や位置情報などのデータが取得・利用されている)[画=photoAC/はむぱん

EFF(Electronic Frontier Foundation)が、2017年4月の調査でEdTechにより生徒達のプライバシーが危機に晒されていると発表。今日は調査概要を見ていきます。

EFFのレポート概要

EFF(Electronic Frontier Foundation)はジャーナリスト、テクノロジストらによって1990年に立ち上げられた非営利団体。ネット上のプライバシーや言論の自由、政策分析や草の根活動を行なっています。

EFFが2017年4月に発表した調査レポートによると、米国の学校現場で導入されている152のアプリケーションにおいて、個人情報の匿名化や保護、利用に関するポリシーの設定が不十分であることが明かされました。

米国教育現場ではGoogleが浸透

EFFのレポートによると、K-12(米国の幼稚園から12年間の義務教育期間)の生徒の中で、3分の1が学校の指定したデバイスを利用し、その半数はGoogleが開発しているChromebookを使っています。また3,000万人の生徒・教員・学校事務職員が、Googleのアプリケーションパッケージである G Suite for Educationを利用し、その人数は拡大しています。

子ども達は学校指定の下、Googleのアカウントを新たに作成します。氏名・年齢・生年月日などの個人情報から、ネットの閲覧履歴、検索履歴、位置情報、コンタクトリスト、行動分析といったデータが、子ども自身や両親の十分なコンセンサスを得ないままに取得・利用されることとなります。

レポートが指摘する6つの問題点

EFFのレポートが指摘した問題点は主に以下の6つです。

  • 透明性の欠如子どもたちの両親への十分な説明やコンセンサスを得ないまま、子どもたちが学校指定のデバイスを利用し、どのようなアプリを利用し、どのようなデータを取得されるのかがブラックBOXの中にあること

  • 調査負担学校から子どもや両親にプライバシーに関する十分な情報提供がなされないため、自分たちで調べる負担が家庭にかかっていること

  • データの扱いに関する懸念両親が子ども達のEdTechを通じ企業に取得されたデータがどのように収集され、利用されているか懸念を持っていること。実際に152の教育アプリケーションでデータの匿名化や利活用に関する十分なポリシーが設定されていないことが明らかになった

  • 学校指定以外に選択肢がない学校で利用を指定されたデバイスやアプリケーションに懸念があっても、代替となるデバイスやアプリケーションを家庭で選択できないこと

  • プライバシーポリシーへの依存学校現場はEdTech企業が提示するプライバシーポリシーを鵜呑みにし、企業側でデータやプライバシー保護を適切に行なっているエビデンスを取得できていないこと

  • プライバシーに関し教育訓練を求める声生徒や教員自身がデジタル活用におけるプライバシーに関するトレーニングを必要としていること

調査対象

EFFの調査は米国内45州の468の生徒、393の親、69の教員、31の学校事務職員、73のその他コミュ二ティメンバーを対象に実施されました。

回答者の半数はChromeBook、3割がiPad、マイクロソフトSurfaceを3%が利用。最もメジャーな教育プラットフォームはG Suiteで、63%の回答者が利用していました。

まとめ

EFFの調査レポートは、EdTechによって子ども達が安価あるいは無料で優れた学習体験を得られるようになったことを評価する一方で、十分なコンセンサスなしに学校現場にデバイスやアプリが導入され、授業で利用するため半強制的にプライバシーやデータを取得され、利用されている現実が指摘されました。オプトアウト(個人情報の第三者提供の拒否) に関する知識も教員・生徒・両親共に不足しており、課題視されています。同様に日本国内においても、特に子どものデータという非常にセンシティブな情報の扱いについては細心の注意を払う必要があります。

[文責=くぼようこ]

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