(イギリスでは16歳の義務教育終了後、2年間のシックス・フォームという大学準備課程に進む。学生はその時点で、大学の専攻を決めておかなければならない。)[画=photoAC/acworks]
前回記事ではオーストラリアの大学事情を取り上げました。連載の第一回で紹介した米国や今日のテーマであるイギリスの大学と比較すると、留学のハードルは低く設定されています。今日は世界で米国に次いで留学生受入数2位のイギリスの大学を見ていきます。
イギリスの大学事情
イギリスの高等教育には、日本で言うところの一般的な大学が90校前後ある他、学位授与の無い高等教育カレッジ、職業訓練や大学進学前のフォローアップを兼ねた継続教育カレッジの主に3種類があります。
1校を除き全てが国立大学
イギリスの大学は、唯一の私立校であるバッキンガム大学を除き全てが国立大学。高等教育基金機関からの資金援助を受けて運営されています。
オックスフォードやケンブリッジなど、米国と並びしばしばグローバルランキングでもトップにランクインする名門大学も多く、教育水準が高く、伝統的で美しい校舎に憧れる人も多いでしょう。
学士は3年 修士はわずか1年
イギリスの大学は9月はじまりの3学期制がほとんど。
1学期が9月〜12月、クリスマスホリデーを挟んで1〜4月が2学期、イースターホリデーを挟んで5〜8月が3学期です。
学士課程は3年で終わることが多く、修士課程は1年。米国大学とは異なり、大学入学1年目から専攻科目を学習します。専攻には、米国の大学同様、主専攻(メジャー)に加え、副専攻(マイナー)を選択することもできます。
英国(イギリス)の大学入試制度
イギリスは義務教育が16歳までで、GCSE(General Certificate of Secondary Education)と呼ばれる義務教育段階の修了試験を受験します。
その後は、大学進学を目指す2年生の中等教育に付帯するSixth Form(シックス・フォーム)課程に進み、初年度の終わりにAS(Advanced Subsidiary level)、2年めにAレベル(Advanced Level General Certificate of Education)と呼ばれる試験を受験します。
Aレベル試験
試験は大学で自身が希望する専攻に応じて科目を3〜5つ選択することとなり、それぞれがA〜Eの5段階で評価されます。
大学はシックス・フォーム初年度の終わりに受験するASの結果が出た頃から出願が可能になり、ASの結果次第では大学から入学の確約が得られることもあります。
大学への出願期限はシックス・フォーム2年目の半ばとなる1月。例えば2018年9月から大学に通いたい場合は、その年の1月が出願期限です。大学への願書提出は大学に直接行うのではなく、UCASという機関を通じて行います。
留学生は準備期間ののち大学へ
留学生はボーディング・スクールと呼ばれる私立の寮付きの学校や、インディペンデント・カレッジ、ファーザー・アンド・ハイアー・エデュケーション・カレッジなどに通学し、 Aレベル試験受験のための準備を行うこととなります。
留学生向けに高校卒業後に大学進学の準備を行うためのファウンデーション・コースを設けている大学もあります。また、語学力も同時に問われることから、IELTSまたはTOEFLのスコアの提出も必要です。
今日はイギリスの大学事情・入試制度を見ていきました。明日は世界3位の留学生受け入れ国、フランスの大学事情・入試制度を見ていきます。
[文責=くぼようこ]
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