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米国 教育制度まとめ | K-12とは

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(アメリカでは幼稚園年長から高校卒業までの13年間を「K-12」と呼び無償教育が行われます。中高大の入学年齢制限はなく、飛び級制度もある代わりに留年もあります。)[画=photoAC/きなこもち

文科省発表「諸外国の教育統計平成29(2017)年版」を基に、諸外国の教育制度をまとめます。今日はアメリカの教育制度をテーマに見ていきます。

米国の学校制度

米国には様々な学校制度がありますが、現在は「5−3−4制」が主流です。

州ごとに多少は異なるものの、小学校(プライマリースクール)は6歳から。小学校を5年で卒業した後は、3年間中学(ミドルスクール)に通い、4年制の高校(ハイスクール)に進学します。小学校〜高校までの初等中等教育段階は6歳〜18歳となっています。

学校制度は米国全体で14,000ある学区によって異なり、日本の主流である「6-3-3制」は米国における1960年代に多く見られ、現在も一部で残っています。また農村では最も古い「8-4制」が残っていることもあります。

▽米国の学校系統図

 

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幼稚園〜高校卒業「K-12」

5歳児が通学する幼稚園年長(Kindergarten)から高校を卒業するまでの13年間は「K-12(ケースルートウエルブ)」と呼び、比較的米国ではよく用いられるキーワードです。この13年間は幼稚園〜高校まで公立の無償教育が提供されています。

米国における幼児教育は、教育省が管轄する公立の幼稚園が、4歳(Pre-Kindergarden)5歳(Kindergarden)の2年間あります。日本では厚労省が保育園を管轄していますが、米国にも保育園と同じような施設があり、Day Care CenterやPre-Schoolと呼ばれる保育学校があります。

年度(アカデミックイヤー)は9月から

日本が4月より年度が開始し、学校も4月始まりに対して、米国では9月がアカデミックイヤーのスタート。5歳児が通うKindergardenは、その年の12月になるまでに5歳を迎える子どもが対象となります。

飛び級(アクセラレーション)制度

米国では中学・高校・大学の入学年齢制限がなく、学力の発達段階に応じ適切な学年で学習すべき、という考え方が主流です。そのため早期入学や学年をスキップ(飛び級)して学ぶことも可能。しかし同時に、学習段階に遅れがある場合は留年(高校も単位取得制になっていることから実際には卒業延期)となります。(参考:教育再生実行会議資料 | 二宮皓 比治山大学・比治山大学短期大学部長

高等教育の日米比較

米国の高等教育(大学)は日本と同様に家計負担となります。進学率・私立大学の割合・授業料について日米比較で見ていきます。

大学・短大進学率

日本:56.8%H28学校基本調査より)

※ただし専修・専門学校を含む高等教育機関進学率は80.0%

米国:74.0%教育再生実行会議資料より)

大学全入時代とは言いながらも、日本の大学進学率は6割以下。この数字だけを見ると、OECD平均の62%も下回っている状況です。専門学校などの高等教育機関への進学率を含めてようやく8割に達します。

一方米国では、オバマ前大統領の時代に、大学卒業率の引き上げが目標として掲げられ、コミュニティ・カレッジ(地域住民が安価に通学できる2年制の高等教育機関)への進学者を500万人増やす計画が進められました。 

大学の年間授業料

日本:

 国立大学 82万円

 私立大学 文系115万円/理系150万円

(全大学における私立大学の割合は77.2%)

米国:

 州立大学 80万円

 私立大学 230万円

(全大学における私立大学の割合は77.3%)

日米では全大学数に対する私立大学の割合はほとんど変わらず、また公立大学の学費も変わりません。一方、米国の私立大学の学費は日本と比較にならないほど高額で、シカゴ大学で年430万円、ハーバード大・MITが年380万円前後とその差は歴然としています。基本的に奨学金を利用しないと、私立大学には進学できないような仕組みとなっています。

尚、米国州立大の学費は州内学生を対象とした金額であり、州外学生や留学生の授業料はより高額で、時に数倍します。

 

今日は米国の教育制度を見ていきました。米国は先進国の中でも珍しく、人口が右肩上がり(現在3.5億人)。ベビーブームが訪れる中、1クラスあたりの生徒上限数の30〜35人(日本は平均40人)をいかに保つかや、人種の違いによる進学格差の是正も課題となっています。

 

[文責=くぼようこ]

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