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専業主婦が就職するまでにやっておくべき8つのこと まとめ

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(47歳で専業主婦から一転、現在では外資系ホテルのディレクターを務める薄井シンシア氏の著書を紹介。)[画=photoAC/トラスケ

人生100年時代と言われる中で、多くの女性の平均寿命が90歳に届こうとしている中。「専業主婦」がキャリアとして認められ、50歳から活躍するためには?今日は書籍「専業主婦が就職するまでにやっておくべき8つのこと」を見ていきます。

著者の薄井シンシア氏とは?

現在57歳でシャングリ・ラ・ホテル東京でディレクター(幹部)をしている薄井シンシアさん。

47歳で17年間の専業主婦人生にピリオドを打ち、その後10年で現在の地位を築いたという、なんともパワフルな女性です。著書の冒頭では、専業主婦の道を選択してから、仕事復帰するまでの葛藤が描かれています。

大学卒業後に貿易会社に就職、その後30歳で娘を出産し、専業主婦に。専業主婦として育児を全うし、47歳、お嬢さんの大学進学を契機に、仕事復帰の道を模索しはじめます。

最初は娘さんが通っていた学校のカフェテリアで給食のおばちゃんをすることからスタート。ところがその後いざ就職活動をしようとすると、専業主婦としての17年間が全く認められずに、悔しい思いをしたそう。

その後電話受付のパートの仕事を得て、転職の後に、現在の仕事に就きました。

主婦をキャリアとして捉えよう

薄井さんは30歳で専業主婦になる決断をした際、主婦になることも一つのキャリアと強く意識するようにしていたと言います。

家族を会社と同じように捉えれば、主婦はさながら経営者。日のタスクをマネジメントしたり、家計管理をしたり、家族のモチベーションをコントロールする様々な取り組みを行うわけです。

しかし薄井さんも社会に出た際、それが一切評価されない現実に当たります。専業主婦業が無償で、評価も感謝されることもあまり無いため、いくらでも手が抜ける、と不当に見下されることがあるというのです。さらに家庭に入ると社会から隔絶された不安を感じ、主婦側も社会復帰に対して萎縮してしまっています。

家庭を企業のように経営する

だからこそ薄井さんは17年間、家事を仕事として取り組みました。

タスクを整理し効率的な動線を研究、献立は1ヵ月分を事前に考え、家計は費用対効果を考えつつ、適切な投資を行う。また一定のクオリティを保てるよう、規則正しい仕事ぶり(家事ぶり)を心がけました。

ここは、漫然と主婦をやるのとは大きな差があります。

筆者の私見ですが、専業主婦の難しい点は、自分自身をマネジメントしてくれる人がいない、客観的で公平な評価が得られにくい、という点です。マネージャーも定量・定性評価も無く、ボーナスもペナルティも無い中で、このように自分を律して働き続ける、という点だけでも薄井さんの17年間の専業主婦生活は高く評価されるでしょう。

専業主婦で身につく4つの能力

薄井さんが挙げる、主婦が身につけられる能力は以下の4つ。

・マルチタスク能力
・クリエーティビティ
・ホスピタリティ
・主婦目線(生活者目線)

しかしこれらは当然ながら、無自覚になんとなく身につくわけではありません。

複数のタスクに追われながらも、常に効率化を検討していかなければなりません。クリエーティビティは家事にも発揮しようと創意工夫しなければ備わりません。ホスピタリティも同様です。主婦目線に関して言えば、批判ができるだけでは役に立たず、代替案が出せる・自ら動いて実現できるクリエーティビティが重要になります。

仕事復帰に向けて主婦がすべきこと

薄井さんの書籍の中で紹介されている8つのポイントは以下の通りです。詳細は実際に書籍を読んでみてくださいね。

□「専業主婦」を長い人生のなかの「キャリア」と位置づける
□ 家庭は一つの「会社」。ビジネスとして捉える
□ 一つのことを基礎から徹底的に学んでプロフェッショナルになる
□ 短期間のちょこちょこ勉強をやり続ける
□ PTA、地域ボランティアに参加する
□ 目標を達成することで、自分で自分を評価し、自信をつける
□「見た目」を維持する
□ 就職して働くための準備と心がまえ(をする)

見栄とプライドを捨てる

上記8つのポイントの中でも、後半で書かれているアドバイスは仕事復帰をしたい方にとって非常に具体的です。

採用市場を客観的に捉え、同じ採用するなら見た目が小ぎれいな方を選ぶだろう、ということ、事務職の競争倍率は高く自分と同じ世代だけではなく、若い世代もライバルになりうること。

自分の学歴や大昔にやっていた仕事など、プライドや見栄は捨てて、ファーストステップと思ってどんなに些細な仕事でも懸命に取り組んでみること、仕事に復帰するにあたり体力づくりは徹底して行うこと、などが書かれています。

まとめ

「ライフシフト」で言及されたように、今、健康寿命が長くなり、60歳定年では経済的に厳しくなる時代が迫ってきています。しかしそれは、決して悲観すべきことではありません。健康寿命が伸びるということは、出産・育児を通じて一度専業主婦になった人も、50歳から20年間は働き続けられる時代が来た、ということです。

人生100年時代に重要なのは、薄井さんのように「目の前の仕事に頭とハートを使って全力で取り組むこと」だと感じます。一般の会社員でも、惰性で降ってくる仕事を受動的にこなすだけでは、60歳を超えて働き続けることは難しいでしょう。会社員の方が社会からの評価を受けやすいとはいえ、専業主婦も社会から評価されたかったら、似たようなものだということです。

「働くのがイヤ」だから主婦になりたい、という人がいますが、主婦も働いています。

働くとは「はた(傍)をらく(楽)にする」とも言われます。会社員として組織でプレッシャーとともに働くのが苦手なだけで、消極的に主婦の道を選んだ方も、実は心持ち一つで、キャリアは多岐に広げていくことができるのではないかと思います。

様々なライフステージを経験できる女性にとっては、ますます面白い時代がやってきました。この本は、ぜひ若い方も40・50代の方にも、男女問わず広く読んでいただきたいです。

[文責=くぼようこ]

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