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SPH(スーパー・プロフェッショナル・ハイスクール)とは

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(農業、工業、商業、水産、家庭、看護、情報、福祉の専門人材を育成する専門高校。企業との連携、高大接続でプロフェッショナルを育成する専門高校を支援するSPHに注目。)[画=photoAC/ラッキーエース

SSHやSGHは一般の高校を対象としていました。工業高校や商業・農業高校などを対象に、特色ある授業展開を支援するSPH(スーパー・プロフェッショナル・ハイスクール)という事業があります。

SPH(スーパー・プロフェッショナル・ハイスクール)とは

SPH事業は、文科省が2013年からスタートした、専門的職業人材を育成する高校を支援する事業です。

毎年10校が採択され、指定を受けると3年間(専攻科を含めると最長5年間)にわたり、国の委託費を受けながら事業を行うことが可能です。

年間事業予算は全体で1億7,000万円程度。事業がスタートした2013年には8,400万円だったのが、徐々に増えていっています。採択された学校は、企業や大学と連携し、特色ある授業の実現に取り組みます。

 

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(引用:2017年度SPH事業文科省資料

そもそも「専門高校」とは

専門高校は、従来は職業高校とも呼ばれてきました。高校の普通科とは異なり、工業高校や商業高校など、職業訓練に通ずる実務的な専門学科があります。文科省の発表によると、2017年5月時点での専門高校の生徒数は約60万人。高校生全体の18.4%、およそ5分の1を占めています。

「専修学校」との違いは

いわゆる「専門学校」と言われるのが専修学校で、高校卒業者を対象としている一般課程が中心。中学卒業段階の生徒が通学する学校もあり、高等専修学校あるいは専修学校高等課程といいます。高等専修学校の生徒は3万9,000人程度(2016年度時点)。工業や商業よりも、服飾などの文化や医療分野が多い傾向があります。

「高専(高等専門学校)」との違いは

専門高校が16歳から3年間通学するのに対し、高等専門学校「高専」は5年一貫教育であることが特徴。5年というと大学2年生の年齢までということになりますが、その後+2年間の専攻科へも希望すれば進学できます。

一時、高専はセンター試験を受けずに有名国立大に編入しやすい、と話題になりましたが、現在はかつてより編入数が絞られています。専攻科を経由して大学院を目指す学生も少なくありません。国公私立合わせて57校あり、全体で6万人の学生が学んでいます。

SPHの事業例

では実際に、SPHに採択された高校がどのような取り組みをしているのでしょうか。文科省SPHWebページに記載の、高校の事業企画を見ていきます。

石川県立工業高等学校(2013年採択校)

北陸先端科学技術大学院大学をはじめ、東京大学先端科学技術センターや金沢工業大学など、大学院や大学と連携した授業展開により、高校在学時に大学院レベルの研究に挑戦することを目標に授業を組み立てました。

埼玉県立常盤高等学校(2014年採択校)

看護師を養成する常盤高校は、3年間の看護専門科に加え、看護学校に相当する2年間の専攻科のある5年一貫校です。大学や病院と連携した授業や、看護技術に関する実験などを授業に取り入れています。

名古屋商業高等学校(2015年採択校)

1884年に創立された、名古屋市立名古屋商業高校。グローバル教育に注力しており、フランスの職業バカロレア試験を参考にした授業づくり、アクティブラーニングを取り入れた授業展開などの取り組みを行なっています。

熊本県立南陵高等学校(2016年採択校)

農業高校である南陵高校では、SPH関連で現在15の授業を進めており、地方創生をテーマとした「農泊」に関する有識者を招聘してのセミナー開催や、学生達によるポスターセッション、九州内のSPH交流会など、学校ホームページで詳細を写真と共に紹介しています。

本日はSPHについて見ていきました。SGHやSSHなど、一般的な高校で、学習指導要領に加えてグローバル教育やSTEM教育に力を入れる学校の支援とは異なり、SPHは優秀な専門職業人材を育成することに繋がり、より社会・雇用に直結していることが伺えます。

 

[文責=くぼようこ]

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