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子ども食堂とは | 5年で2,286ヶ所に拡大

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(子ども食堂は地域コミュ二ティ再生の場。継続・拡大するための支援策が必要だ。)[画=photoAC/しゃりん

法政大学 湯浅誠教授が代表を務める「こども食堂安心・安全向上委員会」が、子ども食堂に関する全国調査を実施。20184月時点で、全国の子ども食堂の数は2,286ヶ所との報道がありました。今日はこの5-6年で増加する子ども食堂について見ていきます。

子ども食堂とは

子ども食堂は地域のボランティアによって運営される、主に子ども向けの無料食堂のこと。

毎日オープンしているわけではありません。毎月1-2回から毎週1-2のペースで運営され、十数名、多いところでは数十名の子どもと大人が集い、提供される食事をとったり、一緒に遊んだりします。

料金は、子どもは無料や100円程度。大人は300-700円程度です。

気まぐれ八百屋だんだん 子ども食堂

子ども食堂が広がるきっかけになったのは、20128月にオープンした「大田区の気まぐれ八百屋だんだん 子ども食堂」。無農薬野菜を販売する八百屋の店奥で、近藤博子さんがはじめました。

近藤さんが食堂をはじめるきっかけになったのは、母親の具合が悪く、朝晩自宅でバナナを一本しか食べていない、という児童の話を聞いたこと。他にも同様の状況に置かれた子どもがいるのでは、と子ども食堂をオープンしたといいます。

居酒屋を居抜きして作った八百屋は、元々人が集まりやすいスペース。食堂をはじめる前から、子ども達がワンコインで大学生に勉強を教えてもらえる「ワンコイン塾」を開くなど、地域住民とのコミュニティスペースとして使っていたこともあり、だんだん子ども食堂には、5年間で3,000人もの子どもたちが訪れたといいます。

(参考:近藤博子さんインタビュー だんだん こども食堂 : 第47回 社会貢献者表彰受賞者

子ども食堂は誰もが利用可

だんだん子ども食堂自体も、貧困を意識してオープンしたものではありませんでした。しかし、100円のワンコインが支払えない子ども達がいることや、通常では考えられない量のお代わりをしていく子どもの姿もあり、結果的に子ども達の貧困にも多く関わることになったといいます。

このように、全国でオープンしている子ども食堂は、いずれも貧困児童のみを対象としているわけではありません。子ども達が気軽に遊びに来れる場であり、地域の高齢者から子ども達までが触れ合えるコミュニケーションの場でもあります。

子ども食堂が抱える課題

子ども食堂が抱える課題は大きく分けて2つあります。1つは人手・食材の不足。2つ目は安全性の担保です。人手・食材不足については地域住民や企業からの寄付に頼る部分が大きく、また安全性の担保については各市区町村の保健所からの指導やトラブル発生時の保険加入などが行われています。

子ども食堂を支援したい人へ

子ども食堂ネットワークのWebサイトでは、子ども食堂の一覧と、アイコンでどんなサポートを必要としているかが掲載されています。

顔のマークは人手、肉や魚、野菜などのアイコンは不足している食材を表しています。もしお住まいの地域に子ども食堂があれば、まずはサポートから始めてみては如何でしょうか。

安全性をどう担保する?

料理を提供する以上、ボランティアであったとしても、食中毒が起きれば大きなトラブルに繋がり、食堂の閉鎖もまぬがれません。善意の取り組みだからこそ食品の取り扱いには細心の注意を払うこと、食の安全に対する勉強を行うこと、そしてトラブルによって賠償問題が発生した場合に備えた保険加入も重要となります。

 

今日は子ども食堂について見ていきました。子ども食堂は2,286ヶ所あるとのことですが、子どもの移動可能な行動範囲を考えれば、1学区に1つあることが望ましいとされています。日本国内の学区数(=公立学校数)は小学校で19,800校。全く足りていないというのが現状です。

子ども食堂が活性化することで一度崩れた地域コミュニティが再形成され、世代間交流が行われます。しかし個人の善意は継続が難しく、市民が継続して取り組む(強制的ではない)仕組みやモチベーション策を提供するのが、まさしく行政の仕事と言えるのではないでしょうか。

[文責=くぼようこ]

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