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未踏スーパークリエータ達の秀逸アイデア

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(手話アプリVisual Creole、心の疲労度を可視化する心温計、髪への振動で音を知覚するヘアピン型デバイスOntenna、声でも操作できるドローン型飛行ロボPhenox、そしてGunosy。)[画=photoAC/ポコポコ

前回記事では経産省所管の独立行政法人が手がける「未踏IT人材発掘・育成事業」について見ていました。今日は毎年の応募者から10名前後選ばれる優秀者「スーパークリエータ」達のアイデアを見ていきます。

手話アプリ「Visual Creole」

Visual Creole from Natsumi Wada on Vimeo.

2016年度スーパークリエータの一人、慶應義塾大学大学院生の和田夏実さんが手がけたVisual Creoleは、手話の手の動きに合わせ画面上でアニメーションをつけられるアプリケーション。人気カメラアプリ「SNOW」はユーザの顔に対応して表情や顔を変化させ、アニメーションを連動させます。乱暴な言い方をすれば、Visual Creoleは、SNOWのカメラ機能のない手話版というと分かりやすいかもしれません。

クリエータである和田さん自身が、ご両親の耳が聞こえず手話で育った経験から、会話以上に「位置、形、動き、量、質感、変化を表す」ことのできる手話の表現力の豊かさに注目し、このアプリケーションを開発したと言います。

心の疲労度を測定「心温計」

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2015年度のスーパークリエータに選ばれた一人、ドイツ人工知能研究センター研究員の石丸翔也さんが手がけた心温計は、取得したユーザの行動ログから心の疲労度を「平熱〜高熱」で判定してくれるアプリ。

心温計は、ユーザが日常的に利用している各種アプリケーションと連携することで行動ログを取得します。例えば、Apple Health KitやfitbitのようなヘルスケアIoTを通じ取得される運動量や歩数、Facebook・TwitterなどのSNSにおける会話量、RescueTimeで取得可能なPCでの各種Webサイト・アプリケーション利用時間、J!NS MEMEで取れる読書時間と会話時間などです。こうした行動ログを深層学習を通じ処理・分析し、想定されるユーザの心の疲労度を可視化してくれる仕組みです。

音を振動で伝えるデバイス「Ontenna」

2014年度のスーパークリエータの一人に選ばれた富士通 エクスペリエンスデザイン部の本多達也さんが開発したのは、耳の不自由な方向けに開発した、髪の毛に装着するヘアピン型のデバイスOntenna。周囲の音を内蔵マイクが広い、256パターンの振動・光と共にユーザに伝えます。

Ontennaによって、身近な音、例えばインターホンやメールの着信、犬や鳥の鳴き声、掃除機のコンセントが抜けたこと、楽器の音なども振動と光で知覚できるようになります。2015年にはイヤリング型のデバイスも開発されました。

Phenox

2013年度のスーパークリエイター此村領氏・三好賢聖氏の2名が開発したPhenox(フェノクス)は、ユーザを姿や声を認識し、コントローラではなく直接指示をして動かせるドローン型飛行ロボットです。プログラムを組み込むことも可能で意図した動作をさせることも可能。未踏事業中に資金調達サイトKickstarterで250万円調達し、出荷するなど、プロダクトを市場にローンチする活動も進められています。

Gunosy

最後は2012年度スーパークリエータに選ばれた、福島良典氏・吉田宏司氏によるGunosy。当時の未踏事業のテーマは「多様性と意外性を考慮したニュースレコメンドエンジン」。東京大学大学院在籍中に未踏事業に参加、2012年11月にGunosyを立ち上げました。創業の2年後、2013年9月には100万ダウンロードを突破し、2017年11月時点では2,200万ダウンロードを突破、翌月12月には東証一部にも上場しました。未踏を通じ起業、大きな成果を上げたスタークリエータ、といっても過言ではないでしょう。

今日は未踏スーパークリエータが、未踏事業を通じ開発を行なったプロダクト・アプリケーション事例を見ていきました。筆者自身が非エンジニアではないことから、エンジニア・研究者のための優れたシステムには今回言及できず、主にtoCのサービスを紹介しています。

今日紹介していないアイデアにも、「おっ」と思う素晴らしいアイデアがたくさんありました。気になる方はぜひ、未踏Webページを覗いてみてください。 

[文責=くぼようこ]

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