(学校に入学する前の段階で、コミュニケーション能力や物事をやり抜く力などの非認知能力が萌芽する)[画=photoAC/セレファ]
近年教育現場では、暗記した知識を正確に回答できるかを見る知識偏重型の教育・評価から、主体的な学習姿勢や周囲と協力して問題を解決する力など「非認知能力」を育む方向へと舵を切っています。そこで今日のテーマは、「非認知能力とは何か」。
非認知能力とは
非認知能力とは、物事をやり抜く力やモチベーション、忍耐力、社会性、レジリエンス(折れない心)といった、数値化できない様々な力や生きるにあたっての姿勢を指しています。
対して、文字が書ける・計算ができるなど、IQや試験の点数で定数的に評価できる学力を「認知能力」と言います。
非認知能力には様々な力がある
非認知能力として挙げられる力は、おおよそ以下のとおり。
- 自信・自尊感情
- 誠実さ・善くあろうとする心
- モチベーション
- 勤勉さ・忍耐力・やり抜く力
- 自制心
- 物事を客観的に見る力
- 社会性・協調性
- 情緒の安定性・レジリエンス(折れない心)
- クリエイティビティ
幼児教育の重要性を説いた ヘックマン教授
米国の経済学者でありノーベル経済学賞受賞者でもあるジェイムズ・ヘックマン教授は1970年代からアフリカ系アメリカ人の低所得者層の幼児(当時)に対して数十年に及ぶ追跡調査を行いました。
その結果、幼稚園や保育園において就学前教育を受けた子どもの方が、将来的に犯罪歴や離婚率・生活保護受給率が低いと分かったのです。
研究結果は、こうした効果がIQによってもたらされたのではなく、非認知能力にの形成によるものとしています。
ヘックマン教授は同時に幼児教育の重要性についても説いており、公共政策で子どもの教育にお金を投じるのであれば、就学前が最も効果的としています。
子どもの非認知能力を伸ばすには?
我が子や生徒の非認知能力の伸ばし方については、まだ研究が十分に進んでいないのか、実体験を基にした提案に止まっています。
ここでは、いくつか効果があるのではないか、と見られる家庭での子どもへの接し方について紹介します。
- 褒める・子どもの話を遮らない・頭ごなしに否定しない
- 結果よりも努力を(具体的に)褒める
- 子どもの関心の赴くまま挑戦させる・失敗を見守る
- 自分でルールを決め・守らせる
- 集団行動のルールを教える
まず、自尊心を育てるためには、子どもの話を受け止め、状況に応じて褒めて自信をつけさせることが良いとされます。
そして「100点とったから偉い」ではなく、「100点を取るために毎日1時間の復習を欠かさなかったから偉い」という具合に、子どもの具体的な努力を褒めることで、どのような努力が良いのかを理解するようになります。
興味の赴くままに挑戦することで創造性が養われ、失敗しても親の励ましで再度挑戦できるようにさせてあげると、粘り強く取り組めるようになっていきます。
「ゲームは1日1時間まで・守らなかったら○○する」という具合に、守らなかった時のペナルティも含めて自分で決めさせます。自制心を身につける練習です。
集団行動のルールとは、リーダーシップとフォロワーシップの使い分け方や、友人との協力の仕方について教える、ということです。
今日は非認知能力について見ていきました。
日本財団の貧困家庭の調査では、この非認知能力の点で子ども達に格差が生まれると指摘しています。
また他にも非認知能力の育成については、他記事でも紹介していますので、興味のある方は以下の関連記事を参照ください。
[文責=くぼようこ]
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