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レッジョ・エミリア教育とは

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(主体的な学びの姿勢を引き出すプロジェクト学習と創造力を高める芸術専門家による教育支援が特長だ)[画=photoAC/acworks]

北イタリアの小さな町、レッジョ・エミリアでは、町を上げて特色ある教育に尽力。結果、世界的にその手法が注目されることとなりました。今日はそんな「レッジョ・エミリア教育」に注目。します。

レッジョ・エミリア教育とは

レッジョ・エミリア教育は、北イタリアのエミリア=ロマーナ州にあるレッジョという地域で始まった、主に未就学児を対象とした特色ある教育手法のことです。

「レッジョ・エミリア教育」または「レッジョ・エミリアアプローチ」と呼ばれます。

プロジェクト(プロジェッタツィオーネ)

レッジョ・エミリア教育では、あらかじめ決められたカリキュラムというものはありません。代わりにあるのは、「プロジェクト」と呼ばれる、テーマに基づいた探求学習です。

レッジョ・エミリア教育の哲学には、子どもの興味関心や考え方・捉え方は100人100色で、その教育手法は1つに定めることはできない、というのがあります。

したがって、レッジョ・エミリアの乳幼児学校では、子どもと教員は、共にプロジェクトを進めるパートナー。学習のPDCAサイクルを子どもと大人が共に回していくこととなります。

イマージェント・カリキュラム

例えば、一つのお題の下に、子ども達は自ら学習計画を立てます。そして大人はそれを見ながら得られる結果を予測し、子どもたちの学習に必要な準備や手助けを行います。学習を通じて得られた結果は、子どもと大人が共に検討・解釈し、次の学習へと繋げます。

このように、決められたカリキュラムありきではなく、大まかな目標設定のみが与えられ、子ども自身の実行・検証によって進められるカリキュラムは「イマージェント・カリキュラム」とも呼ばれます。

ペタゴジスタ(教育専門家)とアトリエスタ(芸術専門家)

レッジョ・エミリア教育を実践する乳幼児学校では、子どもたちは20名以内のクラスで過ごします。

1クラス2人の保育士が配属され、さらに学校全体にはペタゴジスタ(教育専門家)アトリエスタ(芸術専門家)が1名ずつ所属するのが大きな特徴。

アトリエスタによって、子どもたちの創造性や美的感受性を伸ばす支援が行われます。

子ども達は音や味など見えないものを絵で表現する練習や、OHPを使った影遊び、色とりどりの絵の具やブロックを使った創作活動を行います。教室はそうした芸術活動を通じ子ども達が制作した、色とりどりの作品が飾られていきます。

ドキュメンテーション

子どもたちが日々取り組んだこと・そこから得た気づき・疑問・感想などの活動記録は、子ども自身の文章や絵、写真などによって精緻に表現され、保存されていきます。これを「ドキュメント」と呼びます。

レッジョ・エミリア教育では、保護者・保育者(保育職員)も子どもの教育を研究する研究者と位置付けられます。保護者・保育者にとって子ども達が制作したドキュメントは、子ども達を理解し、次の学習を支援するための重要な手がかりです。

レッジョ・エミリア教育の哲学

レッジョ・エミリア教育では、なぜ大人と子どもが対等なのか。

そこには子ども達を一市民と捉え、教育は市民の義務であり、保護者や学校は子どもの教育について研究者であるべきこと、また子ども自身も、あらゆるものを主体的に探求する研究者と捉える考えがあります。

100の言葉

創始者の一人であるローリス・マラグッツィが遺した「100の言葉」という思想は、レッジョ・エミリア教育の哲学として、よく紹介されます。

子どもには 百とおりある。

子どもには 百のことば 百の手 百の考え 百の考え方 遊び方や話し方

百いつでも百の 聞き方
驚き方、愛し方
歌ったり、理解するのに
百の喜び

発見するのに 百の世界
発明するのに 百の世界
夢見るのに 百の世界がある。

子どもには 百のことばがある
(それからもっともっともっと)

けれど九十九は奪われる。
学校や文化が 頭とからだをバラバラにする。
そして子どもにいう
手を使わずに考えなさい 頭を使わずにやりなさい 話さずに聞きなさい ふざけずに理解しなさい
愛したり驚いたりは 復活祭とクリスマスだけ。

そして子どもにいう
目の前にある世界を発見しなさい

そして百のうち 九十九を奪ってしまう。

そして子どもにいう
遊びと仕事 現実と空想 科学と想像 空と大地 道理と夢は一緒にはならないものだと。

つまり 百なんかないという。

子どもはいう でも、百はある。

このようにレッジョ・エミリア教育では、大人の物の見方・尺度を教え込むことで子ども達の世界を狭めることのないように配慮され、自ら進んで学び、表現する力を持った子どもの教育に力が注がれています。

 

今日はレッジョ・エミリア教育について見ていきました。日本国内でも、レッジョ・エミリア教育にインスパイアされた、とされるインターナショナルスクールなどが数校あります。

特にイマージョン・カリキュラムや指導実践については、学習指導要領で「主体的・対話的で深い学び」が問われる今、日本国内でも研究すべきアプローチと言えそうです。

[文責=くぼようこ]

※ Educediaは主宰者の研究・論考を目的としています。記事に含まれる情報は、読者の皆様ご自身の責任においてご利用ください。また、本記事の情報は記事公開時のものであり、最新の情報とは異なる可能性があります。

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