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ペタゴジー・アンドラゴジーの違い | アクティブラーニングへの成人学習理論の応用

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(アンドラゴジーとは自ら計画を立て日常生活や自身の計画を基盤に、問題解決のために学習すること。成人の学習方法と言われてきたが、子どもにも適用することができそうだ)[画=photoAC/acworks]

2020年から小学校・中学校と段階的に始まる学習指導要領の改訂では、「アクティブラーニング」「主体的対話的で深い学び」など、子どもの自発的な学ぶ姿勢を引き出すことを目的とした教育方法の見直しが図られています。今日は自発的な学びを支援する教育学上のキーワード「アンドラゴジー」に注目します。

ペタゴジーとアンドラゴジー

学問上、子どもの学習と大人の学習は区別して考えられます。子どもの学習は「ペタゴジー」、大人の学習は「アンドラゴジー」

それぞれどのような違いがあるのか調べてみました。

ペタゴジーとは

ペタゴジー(pedagogy)の語源はギリシャ語の子ども(paid)と指導(agogus)という2つの言葉から成り立っています。直訳すると「教育学」。子どもを対象に物事を教える、という意味があります。

アンドラゴジーとは

一方でアンドラゴジーとはギリシャ語の大人(aner)と指導(agogus)とを組み合わせた言葉で、成人の学習を援助する教授法を指します。

物事を教わることで習得する子どもに対し、大人は教え込まれなくても自分自ら物事を学び、研究と探求によって習得することができるとして、子どもに対する教育と区別して考えられてきたのです。

アンドラゴジー4つのポイント

アンドラゴジーについてアメリカの教育学者M.S.ノールズは、以下の4つのポイントで説明しています。

  • 学習者自ら学習計画を立て、自ら評価する
  • 自身のこれまでの経験が学習の基盤となる
  • 学習の動機が日常生活や普段の仕事にある
  • 学ぶことが目的なのではなく、問題解決が目的

ペタゴジーとアンドラゴジーの違い

ペタゴジーとアンドラゴジーには、具体的にどのような違いがあるのでしょうか。

  • ペタゴジーは教え導かれる・アンドラゴジーは自ら学び探求する
  • ペタゴジーには教師が定めたカリキュラムがある・アンドラゴジーは自ら計画を立てて進める
  • ペタゴジーは教科書に沿って進む・アンドラゴジーは決まった教科書が無いまたは自らの学習段階に応じ適切な資料を教科書として選ぶ

アンドラゴジーはアクティブラーニングへ

元々は、子どもには物事を教え込むペタゴジー、大人には適切な援助を通じて自学を促すアンドラゴジーという具合に、子どもと大人とでは教育・教授法を区別して考えてきました。

しかし1970年代に入ると前述したノールズは、アンドラゴジーは成人を対象に限らず、教授法の1つとして子どもの教育にも取り入れられうるとしました。

上述したペタゴジーとアンドラゴジーの対比を見ていくと、多くのオルタナティブ教育が、子どもの教育にアンドラゴジーを取り入れていることが分かります。

また同時に、昨今学習指導要領の改訂において注目されている「主体的対話的で深い学び」「アクティブラーニング」とは、アンドラゴジーに通ずることも分かります。 

 

今日はペタゴジー・アンドラゴジーについて見ていきました。

アンドラゴジーを参考に、学校や家庭で子どもの主体的な学びを引き出そうとするならば、子ども自身の経験や日常生活の疑問や問題解決に繋がるテーマを設定することが重要、と考えられます。

また学習計画をしっかりと立て、実行し、評価させる学びのPDCAを回すこと、適切な教科書を自ら選ぶ目を養うことも教える必要があるでしょう。

[文責=くぼようこ]

※ Educediaは主宰者の研究・論考を目的としています。記事に含まれる情報は、読者の皆様ご自身の責任においてご利用ください。また、本記事の情報は記事公開時のものであり、最新の情報とは異なる可能性があります。

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