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フィンランドで「理想の教室」を見た | フィンランドに教育視察に行ってみた(2)

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(東フィンランド大学 Teacher Training Schoolには大人も思わずワクワクする学習環境があった)[くぼようこ撮影]

2018年9月末、フィンランド(ヨエンスー・ヘルシンキ)へ教育視察に行ってきました。本稿では現地での視察レポートをお届けします。【注…本稿では現地で見聞きした事柄について紹介します。自治体や学校の裁量で行われていることも含まれるため、紹介している情報=フィンランド全土のスタンダードではないことを予めご理解ください】

University of Eastern Finland Teacher Training School

フィンランドの地方都市ヨエンスーにある、国立の東フィンランド大学系列の小学校、University of Eastern Finland Teacher Training Schoolに訪問しました。

Teacher Training Schoolというのは、教育実習生の受け入れなども行う学校のこと。東フィンランド大学の敷地内にある小学校で、教育方法の研究も行われています。

まずはこちらのイラストをご覧ください。私が訪問した5年生のクラスの教室の全体図です。 肖像権の関係で、子どもたちの顔が写るような教室の全体写真の撮影ができなかったので、イラストにおこしてみました。

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これは教科横断的に行われるプロジェクト学習の授業の光景です。
教師から課題が出題され、児童自ら課題を選び、グループに分かれて取り組んでいます。

教室の全長は大体25mプールと同じくらいのサイズ。
脇からカーテンを引っ張れば、いくつかに分割できるようになっていました。

課題のペーパーに取り組む子どもたちは、自由に教室内を動き回ります。
ソファに座って友人と話す子、床に座って膝にペーパーをのせて取り組む子。 自分が集中できる場所、自分が集中できる格好で課題に取り組んでいました。

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フィンランドの学校では、子どもたちは教室内で靴を脱ぎます。 日本同様、フィンランドの家庭では靴を脱いで生活するので、家同様に子どもたちもリラックスできるように、ということです。

この学年は全体で60人で、3人の正規教員+1人のアシスタントティーチャーがついて授業が進行していました。 教室の中で子どもたちは縦横無尽に動き回り、静かに課題に取り組んでいたかと思えば隣の子どもと会話し、先生はその中を見回りながら、必要な手助けを適宜している、という具合でした。

また先生側も児童に教える際に、1対多であれば前方に立って全体に向けて話をしますが、マンツーマンで教える時には児童の隣に座るなど、距離感が近いのも見てとれました。

教室のイラストを注意深く見ると、「ウォーリーをさがせ」のように、色んなユニークなものを発見できます。
ここから、いくつかのポイントを紹介していきます。

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POINT1:教室の後方に遊戯スペース

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私が休憩時間に教室を訪れた際、教室からはずいぶん賑やかな声が聞こえていました。子ども達は天井からぶら下がったロープに上ったり、壁のボルダリングの石にかじりついたり、床に転がる大きなクッションに座って、友達とのお喋りを楽しんだり。
こうしたカラフルなグッズは、心をとびきりワクワクさせてくれます

POINT2:グラグラと揺れるスツール

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個人的な私のお気に入りは、こちらのスツール。座ると自分が体重をかけた方向にスツールが傾くんです。 よく学校では、「先生の話を聞くときは足をプラプラさせない」とか、怒られましたよね。この椅子なら、ぐるんぐるん、し放題です。

調べたところ、ドイツのインタースツール(interstuhl)のもののよう。 フィンランドで購入するには125ユーロだったのに、Amazonで見て日本で買おうとすると、なんと5万円(泣)

オフィスの椅子をこれに変えたら、どんなに楽しいかしれません!

POINT3:天井までの高さの階段状ベンチ

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何といっても、教室に入って真っ先に目を引いたのは、こちらの巨大ベンチ。
教室は天井板が外され、開放感のある天井高になっているのですが、その高さをうまく使って、階段状のベンチが作られているのです。 児童40人ぐらいだったら、詰めれば座れてしまいそうです。

私が視察した時には、授業冒頭で児童はこのベンチとその周辺に集められ、向かいに教員が座る形で授業のオリエンテーションが行われました。 (もっとも、先生がはじめにしたのはお説教。休憩時間に騒ぎすぎた児童がいたようで、クラス全体への注意からでした。どの国も、子ども達に先生が叱る内容は同じようなものですね!)

児童はベンチに座ったり、その前に体育座りをしたり、椅子を運んで先生の近くに座ったり。 机を挟まないので、児童同士や先生との距離が近いこと、先生が椅子に座って話すのと同じ目線で、児童が話を聞けることが印象に残りました。

ちなみに、ベンチには面白い仕掛けが。 側面から見ると、脇にトンネルが開いているんです。 子どもの頃って、こういうトンネルに入っていくの好きじゃなかったですか?
こうした子ども心をトキメかせる仕掛けも、たまりません!

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POINT4:布製のテントにカラーブロックのクッションチェア

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ベンチに開いたトンネル同様、布製のテントは子ども達にとってはワクワクする秘密基地。教室内では靴を脱いで過ごすからこそ、こういったテントの中で座る、なんてことも気兼ねなくできます。

f:id:educedia:20181213204821j:plainとにかく教室内がカラフルで、このクッションチェアも、敢えて鮮やかな色を取り入れています。子どもにも軽く自分たちで使いところまで運びやすく、柔らかい素材で安心感があります。

POINT5:教室内にキッチン

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ブルーの冷蔵庫はインテリアでしたが、流しやレンジなどはしっかり使えます。 日常の学校生活から、生活について学んでもらうための仕掛けです。

まとめ

ここまで見てきたように、東フィンランド大学系列の小学校は、教育手法の先進校ということもあり、非常に多くの仕掛けを教室に見つけることができました。

日本の、児童40人が全員同じ方向を向いて同じ椅子に座り、先生の授業を聞くスタイルとは当然ながら違う上、この学校では、教室内の机・椅子は敢えて素材も形も色も統一せず、良質なものを集めているのが印象的でした。

教員の1人から伺ったところ、今回見学した授業では、与えられた課題に応じて教員が教室の中から適した環境の学習スペースを選んで、そこでグループ学習を進めるようにしている、とのこと。 学習スペース一つ一つにも目的と狙いが込められているのが分かりました。

 

さて、ここまでUniversity of Eastern Finland Teacher Training Schoolでの先進的な教室像を紹介していきましたが、まだ紹介していないポイントが1つあります。 ヒントはこちら。

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次の記事では、今日紹介した学校、そして一般的な学校で見聞きした、「フィンランドの学校の気になるICT事情」について紹介していきます!

[文責=くぼようこ]

※ Educediaは主宰者の研究・論考を目的としています。記事に含まれる情報は、読者の皆様ご自身の責任においてご利用ください。また、本記事の情報は記事公開時のものであり、最新の情報とは異なる可能性があります。

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