(生徒数あたりのPC数ランキングでは佐賀県がトップ。一方神奈川県は最下位に。)[画=photoAC/acworks]
学習指導要領の改訂に伴い、教育現場へのICT機器の導入が進められています。今日はデジタル化が進む学校現場を見ていきます。
教室のICT化とは
平成30年度からの新学習指導要領でプログラミング教育がはじまるのに伴い、学校現場においてPCやディスプレイなどのICT環境の整備が進められています。
2018年〜2022年まで毎年1,805億円、5年間でおよそ9,000億円の地方財政措置が講じられる予定です。
ICT機器の設置方針
ではどのような機材をどの程度確保していく予定なのか。以下にまとめます。
- 大型提示機器(プロジェクタ型・モニタ型電子黒板)を通常教室や理科・図工室などの特別教室に設置
- 上に加えて書画カメラの常設
- 1日1コマはコンピュータを利用した学習が可能になるよう、3クラスに1クラス分のコンピュータ
- 学習用ソフトウェアの充実
- 無線LAN環境の整備
- 生徒用のサーバの設置
- 教員用&校務用コンピュータの整備 etc.
2016年度末時点の状況
文科省の発表資料によると、2017年3月時点での学校におけるICT環境は以下のとおり。
- コンピュータ1台に対し生徒数は5.9人
- 普通教室の無線LAN導入率は89%
- 普通教室の電子黒板導入率は24.4%
- 47都道府県で最も生徒数に対するPC数が多いのは佐賀県で1.9人/台
- 一方最低は神奈川県で8.0人/台
- 無線LAN導入率は最低が富山県で5.7%、最高が静岡県で63.1%
教室のICT化のメリット
教室にデジタル機器が導入されることで、教育現場にはどのような変化が起きているのでしょうか。
読売新聞の立正大学付属立正中等・高等学校の取材によると、以下のようなメリットが見えてきました。
- 教科書やワークシートを電子黒板に投影しその上に教員が書き込みを行いながら授業を進行できるので、教員側も最低限の板書で済む。また生徒が手元の教科書ではなく電子黒板に注目しやすい
- 授業の途中で授業時間が終了しても、次回授業で板書を書き直す必要がない
- 動画を簡単に・うまく活用し生徒の理解を促せる
- 家庭と学校の連絡手段が簡略化する
教室のICT化の課題
一方で、教員に対しデジタル機器の利用方法に関する研修が必要なこと、機器トラブルによって授業が中断することもあること、授業で用いる学習ツールを通じて児童の個人情報やWebサイトの閲覧記録が収集されるなど、教室のICT化における課題は見られます。
またこれまで教科書や資料などをデジタルで取り込んで生徒達に配信したくても、著作権法の関係でコンテンツの権利元に個別に利用の可否を問わなくてはならず、ハードを整えてもソフトが追いついていない、という課題もありました。その点は2018年5月に著作権法の一部改正案が国会で成立したことで、今後改善される見通しです。
今日は教室のICT化について見ていきました。
[文責=くぼようこ]
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