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トランプ大統領が教師の銃所持推進に前向き | ニュース

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(週に1回のペースで学校銃撃が発生しているアメリカ。トランプ大統領が教師の銃所持を訴える一方で、教師たちによる「 #ARMMEWITH (銃以外の力で)立ち向かおう」キャンペーンが広がる。)

 

トランプ大統領が2018年2月21日22日、教職員の銃武装を支援する発言をしました。先週2月14日、フロリダ州の学校で起きた元生徒による銃乱射事件を受けたものです。今日はBBCニュースCNNニュースが報じたこのニュースから、学校安全について考えます。

 

 

ニュースのあらまし

大統領は2月22日、校内銃乱射事件の生存者や我が子を失くした親、事件現場となった学校の教職員など40名による陳情を受け、教職員の銃武装を推進することを約束。さらに翌23日には、事件の再発防止策の検討会議において改めてコメントしました。

トランプ大統領のコメント

主な発言は以下のとおり。

 ・教員が銃をとれば犯人への威嚇になり、抑止効果は高い

 ・全米の教員の20%に銃を所持させるべき

 ・銃訓練を受けた教員にはボーナスを支給しても良い

学校現場での教員の銃武装は、トランプ大統領が支持する全米ライフル協会(NRA)が元々強くプッシュしていたものです。

アメリカにおける校内銃乱射事件は増加傾向

時事通信社の報道によれば、米国では2018年に入ってから1ヶ月経たない内に、既に11件の校内銃乱射事件が発生。1月23日にはケンタッキー州で15歳の男子生徒が発砲し2名の生徒が亡くなり、10名以上が負傷しました。

銃乱射が発生した学校は2013年からのこの5年で250校を超え、ほぼ1週間に1件は校内や通学路での発砲事件が発生しているという計算になります。また、この数字は年々増えています。

フロリダの前にも過去4つの凄惨な事件

アメリカにおいて最悪の校内銃乱射事件と言うと、今回のフロリダ州での事件に加え、4つが挙げられます。それぞれ以下に概要をまとめます。

2018年2月14日 フロリダ州 マージョリー・ストーンマン・ダグラス高校

元生徒(19)が退学処分の腹いせに起こした事件。17名が亡くなり14名が負傷。

2015年10月 オレゴン州 アムクワ・コミュニティ・カレッジ

容疑者(26)が校内で発砲、9名が亡くなり10名が負傷。

2012年12月 コネチカット州 サンディフック小学校

容疑者(20)が小学校内で銃を乱射。26名(うち児童は20名)が亡くなり、1名が負傷。犠牲者は6歳や7歳の学校に通い始めたばかりの幼い子どもたちだった。

2007年4月 バージニア工科大学

23歳の男子学生が学生寮と教室内で発砲。31名が亡くなり、23名が負傷。

1999年4月 コロラド州 コロンバイン高校

17・18歳の生徒2名が校内で銃を乱射し、容疑者を除く13名が亡くなり、24名が負傷。

 

米国の学校における犯罪防止策

1999年のコロンバイン高校や2012年のサンディフック小学校での銃乱射事件以降、米国における校内での犯罪対策が強化されています。主な施策として取られているのは、下記のとおりです。(参考:米国における学校安全への対応(1)| 南山大学 宇田光教授

・校内への監視カメラの設置

・学校入口に金属探知機を設置

・学校警官(スクールポリス)の設置

・武装教師(Armed teachers)の導入

・生徒個人用ロッカーの定期検査

・警報発令・避難訓練の実施 

武装教師(Armed teachers)は既に米国では存在している

宇田教授の調査レポートによれば、既に米国では2013年時点で、33の州で武装教師に関する80を超える法案が成立していた模様。校長や一部の認められた教師が銃やゴム弾を打てる銃を自衛のために校内で隠し所持するものとなっています。

スクールポリスは学校に警官が常駐する仕組みです。一方教師が銃を所持する武装教師は警察署などが遠い地域の学校で、警官の到着までに時間がかかることを理由に導入されています。

銃乱射事件は、警官が到着する頃には既に手遅れとなっていることがほとんど。被害が拡大する事件発生から5分・10分の間に、その場で被害を食い止めるため、あるいはトランプ大統領の言うところの抑止力を働かせるために、教師の武装が推進されようとしています。

 

教員からは「#ARM ME WITH:(銃以外の力で)立ち向かおう」の声

BBCの報道によれば、インスタグラム上で教員の銃所持に反対するユーザによる「#ARM ME WITH」プロジェクトが起きています。トランプ大統領の発言から、わずか2日間で5,000以上もの投稿が集まっています。(以下インスタグラムより)

www.instagram.com

 

例えば子どもたちとの親密な関係構築、例えば本を読んで豊かな心を育てること、例えば試験の点数至上主義から可能性を伸ばす教育にシフトすること。

銃の力以外で、教員ができることはまだまだあるはず。そんな声が集まっています。

#ARM ME WITHのキャンペーンに参加したい場合は、発案者のWHEATONさんのGoogle Driveよりダウンロードできます。(ダウンロードはこちら

 

ハード面の対策だけで学校安全は保たれるか

監視カメラや警官の動員など、ハード面からの対策を講じたことで、確かにドラッグや暴力、武器の校内持ち込みなどを防ぐあるいは発見することができた、というデータはあります。一方で、#ARM ME WITHプロジェクトにもあるように、教職員のサポートや教育によって、ソフト面から改善することもできるでしょう。

争い時の対処法や怒りの鎮め方を教える

コロンバイン事件の翌年、ブラウン大学の心理学に関するニュースレターに「校内暴力事件を減少させる取り組み」というタイトルで寄稿がありました。執筆者はバージニア州ロアノークにあるリバーモント校の校長。公正が困難と判断された生徒たちを預かりセラピー教育を行なっている学校です。

監視カメラや金属探知機などよりも、怒りの鎮め方や、争いが起きた時の対処法、ケンカの仲裁方法を教えることが重要と訴えました。

子どものちょっとした変化を見逃さない

さらに下記のような子どもたちの変化に気づき、コンサルタントやセラピストなどを通じてケアすることも有効と言います。

  • 子供の性格のわずかな、あるいは明白な変化。
  • 活動意欲の突然の欠如。
  • 暴力的なゲームへの妄執。
  • 気分の揺れや鬱状態。
  • 怒りを抑える能力の欠如。
  • 死に関する話。
  • 学校への武器の持ち込み。

(参考;CHiLD RESEARCH NETの翻訳

生徒・教員・家庭・地域社会の関係構築と対話がカギ

ペンシルバニア州のフィラデルフィア小児病院 損傷・予防研究所では、学校銃撃を防ぐポイントとして以下の4つを挙げています。(フィラデルフィア小児病院 損傷・予防研究所Webサイトより)

・生徒が生徒同士や教職員に対し何でも打ち明けられる安心感を持っていること

・生徒と教職員の間に相互の信頼と尊敬があること

・学校と家庭、地域社会との間で現在進行形での関係構築や対話があること

・これらのことについて教職員に対し十分な教育機会があること

 

まとめ | トランプ大統領が教師の銃所持推進に前向き

米国の銃規制の問題と捉えられがちなこのニュースですが、学校安全の観点から考えると、日本も大いに目を向けていかなくてはなりません。

子どもたちにとって、学校を、安心できる居場所にするにはどうしたら良いか。

校内だけではなく、家庭や地域社会との連携が不可欠です。

 

[文責=くぼようこ]

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