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Yコンビネーター発 EdTech企業に注目(後半)

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(WebビルダーのPadlet、SELダッシュボードのPanorama Education、MOOCのPlatzi、コミュニケーションツールのRemind。)[画=photoAC/acworks

前回記事に引き続き、シリコンバレーのアクセラレーター Y combinator(Yコンビネーター)卒のEdTechに注目。今日は後半4社を紹介します。

Yコンビネーター卒 注目EdTech4社

前回はeポートフォリオ、アプリ一元管理プラットフォーム、プログラミングスクールの3社を紹介しました。今回はクラスのコンテンツを簡単に作成できるWebビルダーのPadlet、対人関係育成評価のダッシュボードPanorama Education、スタートアップに特化したMOOCのPlatzi、お知らせプリント代わりに使えるコミュニケーションツールのRemindの4社を見ていきます。

Padlet

Padletは直感的なインターフェースで、簡単にWebページが作成できるサービス。テンプレートを決めたら、コンテンツをアップできるユーザグループで写真や動画、文章などコンテンツを投稿し、さながら掲示板のような「ボード」を作成することができます。アップロードは非常に簡単で、ドラッグ&ドロップだけ。パワーポイントのデータなども、クリックするだけでそのままWebブラウザで見られます。

作成したコンテンツは特定の相手だけに共有することが可能。教室内や両親だけに共有し、クラスの振り返りを行なったり、自由研究のグループ発表に使用したりすることも可能です。

価格は学校1校あたり年間$1,499(約16万円)、教員1名あたり年間$99(約1万1,000円。29言語に対応しています。

Panorama Education

Panorama Educationは、SEL(Social Emotional Larning:対人関係能力育成)の評価・比較・検討のためのダッシュボードです。

SEL(対人関係能力育成)とは、関係構築能力、セルフマネジメント、意思決定、自意識、社会意識などについて、教室・学校・家庭など身近なコミュニティを通じ形成する心理教育のこと。

Panorama Educationでは22の指標を通じて、SELに関する生徒の力や教員の働きかけなどの学習環境を評価・分析します。教員が例えばクラス内で生徒の状況を把握したり、校長が教員と生徒とのエンゲージメントを定数的に評価したり、といった使い方が可能で、適切な課題設定と有効なアクションができます。

Platzi

Platziはメキシコ発のスタートアップ授業に特化したMOOC(Massive Opne Online Courses:オンライン講座)。Yコンビネーターのパートナーや、UBERやWazなど有名スタートアップ企業のグロースハッカーなどが教鞭をとるオンライン授業を受講できます。テーマは「グロース・マーケティング」「プログラミング」「マーケティング」「データ」「デザイン」「ビジネス」の6つ。

無料のコースもあれば有料のものもあり、例えばUBERの元グロース・マネージャーの「グロース・マーケティング」のコースでは、$29.99(約3,300円)で2.5時間のビデオ、最終試験とCertificate(修了証明書)の発行があります。

Plaziの公式YouTubeチャンネルには、スペイン語(一部英語)のハウツーコンテンツやインタビューなどが多くアップロードされ、チャンネル登録者数は31万人以上。

Remind

Remindはテキストメッセージや写真、PDFなどを選んだ相手やグループに送信できるコミュニケーションツール。主に教員と保護者間の連絡や、アナウンスのためのツールとして利用されています。従来は「保護者会の案内」や「運動会について」など、お便りをプリントで配付し、児童から保護者に渡す流れをとっていましたが、Remindを利用することで、手軽にメッセージのやり取りが可能になりました。また、未読・既読の確認もできることから、チェックしていない保護者を確認し、リマインドすることも可能です。メールよりも手軽で確実に開封されるのがメリットです。

まとめ

前回と併せご紹介した7社の中で特に注目したいのは、MakeSchoolの学費出世払い方式のビジネスモデルと、Panorama EducationのSEL(対人関係能力育成)に特化したダッシュボード。

前者は近年のプログラミングスクールに見られるビジネスモデルです。収入に繋がりやすいスキルと質の高い教育を提供し続け、卒業生のロイヤリティが高いからこそ成立します。資本主義の中で健全性を保てるモデルと言えるでしょう。他方Panorama Educationのように、学校教育の中でも特定のスキルや教育方針に特化し、データの収集・分析を行うサービスはスケールしやすく洗練されています。

スタートアップの要件は、社会的なインパクトとビジネスがスケール(拡大)するかという点。意義があるから収益ゼロで良い、というわけではなく、意義があるからこそ市場から収益を得られるよう、企業には知恵が求められています。

[文責=くぼようこ]

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