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デジタル世界の子どもたち | ユニセフ世界子供白書2017

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(デジタルは急速に子どもの世界を変えている。大きなチャンスも利便性も、リスクもあるデジタル世界で、次世代はどう成長していくのか。)[画=photoAC/acworks

ユニセフ世界子供白書2017の日本語版がこの4月に公開されました。200ページを超える白書から、今日は概要と興味深い視点を紹介。

世界子供白書2017の概要

世界子供白書は毎年ユニセフから発行されている調査集。2017年度版は「デジタル世界の子どもたち」と題して初めてデジタルをテーマとし、IT・インターネットの普及が子ども達にどのような影響を与えているか、多角的に見ていくレポートとなっています。

数字で見るデジタル世界の子どもたち

世界子供白書によると、現在世界全体でネット環境下にある人々の割合は約5割(48%)と言われています。 その中でも割合が高いのは先進国の人々で、中でも18歳以下の若者・子どもの割合が高いことが分かります。

  • 世界の若者世代の7割がインターネットに接続している
  • 世界のインターネット利用者の3人に1人が18歳未満
  • 残りの3割に当たる約3.5億人の若者はネット環境がない
  • アフリカでは6割の若者がネットにつながっていない
  • 一方ヨーロッパでは4%に過ぎず経済格差を反映している
  • 日本では人口100人に対するネットユーザー数は92人
  • 15歳と25歳ではネット利用時間に大きな差が無い

また、ネット利用者の低年齢化が進んでいること、また利用時間も非常に長いことが読み取れます。

デジタル世界の問題

子どもたちがその小さな画面からアクセスするインターネットの世界は、親が管理・制限し難い領域です。SNSを通じてどんな人と繋がっているのか?どんなサイトにアクセスしているのか?悪意ある大人や不適切コンテンツと我が子の意図しない結びつきを如何に防ぐか、大きな悩みの種となっています。

  • デジタルディバイド(IT環境の地域・性別格差)
  • プライバシー
  • 不適切コンテンツへのアクセス
  • ネットいじめ(Cyber-Bulling)
  • 悪意ある大人による児童へのアプローチ
  • 子どものネット利用時間の長さ

子ども達のネット上の安全に関してはこちらの記事でも一部紹介しているためここでは割愛します。一方で注目したいのは「デジタルディバイド(IT環境の地域・性別格差)」

上で紹介したように、ネットにアクセス可能な環境にある人々は先進国になるほど多く、アフリカなどの発展途上国は少なくなっています。

テクノロジーに対するリテラシーが生涯賃金に影響すると見られている中、デジタルディバイドが世界の格差を一層促進するのではないかと見られており、発展途上国におけるネット環境の整備とSTEM教育支援が国際社会の一つの使命となっています。

デジタルがもたらした機会

一方でデジタルは様々な機会を若者にもたらしました。

  • 遠くに住む家族ともコミュニケーションが緊密に取れるようになった
  • ハンディキャップがある人も世界中の友人とコミュニケーションが取れるようになった
  • 政策提言など市民の声を世界に広げられるようになった
  • ネットを通じた安価な職業訓練や学習が可能になった
  • ネット上で雇用が生まれた
  • 企業と個人のマッチングがしやすくなった

このようにデジタル世界では地理や貧富の格差、ハンディキャップ、時には言語の壁をも取っ払い、望んだ人がチャンスを掴むことも可能になりつつあります。 特に職業訓練や学習機会の提供については、タブレットやMOOC(※詳細はこちらの記事を参照)の広がりにも注目が集まっています。

デジタル世界の新しい視点

統計データや考察だけではなく、様々な人々の声や専門家によるコラムが充実している白書。デジタルの世界が人々や子ども達に与える影響について、新しい視点を学ぶことができます。

デジタルをめぐる親の不適切な行動に子が怒り

白書には、デジタル環境をめぐる親子・家庭での喧嘩や不満などのコメントも掲載されています。その中には、親側の行動に子どもが不満を持つケースも。

  • 自分(子ども自身)の写真を親が無断でSNSにアップ
  • 家族団欒の場でスマホを見ており家族内の会話が減少
  • SNS上で親が子どもの動向をチェック(一方子どもは裏アカウントを作成して親の監視をかい潜る)
  • Webサイトにポルノ広告が表示されると「(ポルノサイトを)閲覧していたのでは」と邪推される
  • 両親が自分のスマホやネット、SNSの利用方法で喧嘩

子どものネット利用について注意しなければ、と親側の関心が高まる一方で、親側の使い方やリテラシーも子どもから見られていること、時に子どもの方が親を上回り、使いこなす現象も起きていることが窺えます。 

意思決定をテクノロジーに委ねることに注意

信頼に関する専門家によるコラムでは、著者の3歳の娘がAmazon Echoを使うようになり、Alexaに今日すべきことや着るべき服について尋ね始めたため使用を中止した、というエピソードがありました。

子ども達の世代はこれから、人々が意思決定を人工知能や自動化技術へと委ねる時代の中で成長すると見られます。画面へのタップやフリック、スワイプなど、直感的な操作感が広がるほど、個人の意思決定感覚は曖昧になります。そうした時に、その技術に判断を委ねて良いのか、一度離れて考える習慣をつけることが重要になるでしょう。

今日はユニセフ世界子供白書から、子どもとデジタル世界の関わりについて見ていきました。白書自体はWebサイトから自由にPDFのダウンロードが可能です。興味のある方はぜひ読んでみてくださいね。

www.unicef.or.jp

[文責=くぼようこ]

 Educediaは主宰者の研究・論考を目的としています。記事に含まれる情報は、読者の皆様ご自身の責任においてご利用ください。また、本記事の情報は記事公開時のものであり、最新の情報とは異なる可能性があります。

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