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依存のメカニズム | アルコール・スマホ・対人関係 etc. その種類と原因

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(依存症はなぜ起こる?何かに依存してしまうとはどういうことなのか。)[画=photoAC/ガイム

アルコール依存症やタバコ依存症、近年ではスマホ依存症・ネットゲーム依存症、身近な人への依存に至るまで、さまざまなところで話題になる"依存症"。そのメカニズムとは何か見ていきます。

依存症とは

依存症とは「特定の何かに心を奪われ、やめたくても(やめたくなっても)、やめられない・ほどほどにできない状況」を指します。

重要なことは、依存症は本人の意思だけでは克服できない病気ということ。

後述しますが、アルコールでもギャンブルでもスマホゲームでも、依存症は特定の依存行為を繰り返すことで、脳が変化し、自分で自分の欲求を抑えられなくなる状況です。

また意志薄弱の人がなるとは限らず、誰しも陥る可能性がある病気です。

日常生活へ悪影響があるか

厚労省のサイトによると、依存症かどうかの判断には専門家の知識が必要なものの、診察を受けるかどうか判断するにあたって重要な視点となるのは依存対象への執着によって、日常生活に悪影響をきたしていないか、ということ。

  • 依存対象にのめり込み睡眠不足や食欲減退など健康を害す
  • 学校や仕事などへの遅刻・欠席欠勤が頻繁に起き続けられない
  • 周囲が止めようとすると激しく怒る・暴力的な行動に出る
  • 依存対象にお金を使うため借金をするなど手段を選ばない
  • 依存行為のために嘘をつき家族や友人・同僚関係を悪化させる

このような状況が見られたら「黄色信号」。自分自身でコントロールが効かなくなる状況は、単なる"ハマっている"という状況を越えて"依存"と言えます。専門家を通じた診断や支援が必要です。

依存症の種類は3種類

上述した厚労省のWebサイトでは、依存症には物質・行為の2種類があるとされていますが、ここでは対人関係依存を含めて3種類とします。

  • 「物質への依存」アルコールやタバコのニコチンなど
  • 「行為への依存」ギャンブルやゲーム、性行為など
  • 「対人関係への依存」恋愛や家族友人への依存など

脳では何が起きているのか

まず物質や行為への依存については、神経科学の観点から研究が進んでいます。

アルコールやニコチンを摂取、あるいはギャンブルや性行為などの興奮や快楽によって、脳ではドーパミンと呼ばれる快楽物質が放出されます。この快楽物質の放出によって中枢神経は快楽や喜びを感じ、この行為を「ご褒美」と感じる回路が出来上がります。

そして依存物質の摂取や依存行為が繰り返され習慣化すると、ドーパミンが強制的に分泌されることが繰り返され、中枢神経の機能が低下、より多くの快楽物質を得なければ喜びや快楽を感じることができなくなり、依存症が進行します。(参考:依存症についてもっと知りたい方へ |厚生労働省

これはゲームやスマホ依存、SNS依存症など、デジタル依存全般にも当てはまります。ゲーム依存症の人の脳の働きを調べると、ゲームを開始した際にドーパミンが過剰分泌され、自分ではコントロールできない状況に置かれていることが分かっています。

依存行為はなぜ習慣化するのか

依存症は病気であり、なぜ自分ではやめることができなくなるのか、神経科学の観点から明らかにされています。

では依存症に陥るまでに、なぜ人は依存行為を繰り返し習慣化してしまうのでしょうか。

国立精神・神経医療研究センター 松本俊彦氏は、NHKの福祉ポータルサイトで以下のように述べています。

一つは、依存症患者さんの多くが、アルコールや薬物の使用量が増加した時期には何らかの苦痛を抱えたり、現実生活で困難に遭遇したりしているということです。 どんな患者さんでも必ず仕事や家庭生活に支障を来たさずにアルコールや薬物と付き合えている時期があるものですが、その後、苦痛や困難に遭遇するなかでそれらの量が増え、最終的にコントロールを失っているのです。

もう一つは、依存症患者さんが依存対象として選択している薬物の多くは、これまでその人が抱えていたコンプレックスや生きづらさを解消し、弱点を補ってくれる作用を持っているということです。たとえば、意欲低下や対人緊張、不安、落ち着きのなさを改善したり、体重コントロールを容易にしてくれたりするわけです。

このように、現実のストレスや不安などのはけ口となったり、コンプレックスや生きづらさの解消として依存物質の摂取や依存行為が習慣化されるため、薬を飲んだら治るとは一概には言えません。

本人の生きづらさを支える"杖"となっているものが失われるため、それをどう補うのか、心のケアも重要になってくるわけです。(参照:コラム:「人はなぜ依存症になるのか」|これって“依存症”? ―“やめたいのにやめられない”あなたへ―|NHK福祉ポータル ハートネット

依存性パーソナリティ障害

上では神経科学や心理学の観点から、物質・行為への依存について見ていきました。

では、対人関係への依存はどのように考えたら良いのでしょうか。

いわゆる「恋愛依存」や「共依存」のような状況は、依存性パーソナリティ障害と言われています。

親や家族への依存は、例えば子どもの頃や歳を重ねてから、怪我や病気によって、など自立して生きるのが難しい年齢や状況になると誰でも起こります。

しかし自立して生きられる年齢や状況になっても他者への依存が過剰に続き、自ら意思決定ができないと、依存性パーソナリティ障害が疑われます。

具体的には以下のような状況が挙げられます。

  • 自分では意思決定できず相手に意思を委ねてしまう
  • 自分で計画を立てて実行することができない
  • 暴力など自分を傷つける相手であっても離れることができない
  • 自分を認めてくれる相手に自分の意思に反しても従う・同調する
  • 1人きりになると生きていけないのではという過度な恐怖心がある

アダルトチルドレンと依存体質

メディアでしばしば話題になる「アダルトチルドレン」や「依存体質」というキーワード。これらは、医学的に言われていることではありません。

アダルトチルドレンは、機能不全の家庭で育った・幼少期に親との関係において何かしらの問題を抱えたために、トラウマや不安障害、依存傾向などを抱える人のこと。

一方、いわゆる「構ってちゃん」や過剰に友人や恋人・家族を束縛してしまう、など、依存症までいかずとも、それによって人間関係に悪影響を及ぼす傾向がある人のことをしばしば「依存体質」などと言います。

依存症は神経科学や心理学の観点から病気として診断されますが、当然傾向や原因となる体験がある、などのグレーゾーンにいる人は多くいるでしょう。ネット上には依存体質を克服する方法として、自分を認めること、趣味やひとり旅でのリフレッシュなどが紹介されています。

一方で、衝動的な行動をコントロールできない時がある、と感じるのであれば、心理カウンセラーを利用してみるのも良いかもしれません。

今日は依存について見ていきました。

[文責=くぼようこ]

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