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OECDも注目「金融リテラシー」とは | 金融教育で子どもの「生きる力」を育む(1)

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(超高齢化社会・人口減少により福祉サービスの縮小に直面する日本の子ども達。金融リテラシーを高める教育が重要だ。)[画=photoAC/acworks

OECD(経済協力開発機構)では、2012年から金融リテラシーに関する成人・児童に向けた調査を行なっています。世界でも注目が集まる金融リテラシーとその教育について、複数回にわたり見ていきます。

なぜ今「金融リテラシー」?

OECDが行なっている、15歳の児童を対象とした学習到達度調査の世界比較であるPISA(Programme for International Student Assesment)において、2012年から金融リテラシーの調査が追加されることとなりました。

2012年、2015年と調査は行われ、3回目の調査は今年実施される予定です。日本は本調査に参加していないため2015年のランキングには反映されていません。しかし今、世界的に児童の金融教育への関心が高まっています。

2015年のPISA調査レポートのページでは、金融リテラシーについてこのように紹介されています。

(和訳)この10年間、先進国・発展途上国問わず、市民ことに若者の金融リテラシーに対する関心が高まっています。その背景には人口減少に伴う社会福祉や企業による福祉サービスの縮小、高齢化社会を含む人口推移があります。多くの若者が財務状況に応じ金融サービスを活用する必要性に直面していることから、金融リテラシーの認知度が世界的に高まっています。

日本は国立社会保障・人口減少研究所の将来推計によれば、 あと40年ほど先の2060年には人口が9284万人まで減少し、その内15歳〜64歳の生産年齢人口が占める割合は約半分の51.6%になると見られています。

今からちょうど20年後の2038年には3人に1人が65歳以上となり、世界で最も早く超高齢化社会に突入する日本では、若者ほど福祉サービスの恩恵に預かりづらくなっていくリスクがあります。

上記の言葉に当てはめれば、日本こそ最も金融教育に力を入れなければならない国でしょう。 

金融リテラシーと国内における金融教育

金融リテラシーについて、OECDでは以下のように定義されています。

(和訳)金融リテラシーとは、金融に関する概念とリスクを理解すること、そして、個人の財務状況に応じて効果的な判断を行い、個人の人生と社会の金融状況を向上させ、経済生活に参加できるようになるだけの、金融に関する知識と理解、自信とモチベーションのことである。

金融教育の定義

こうした世界の動きに対して、国内では日本銀行情報サービス局が運営する金融広報中央委員会や日本証券業協会などが、金融教育の導入に力を入れています。

金融広報中央委員会では大人から子どもまでがお金について学ぶことができる情報サイト「知るぽると」を運営。金融教育については以下のように定義しています。

お金や金融の様々な働きを理解し、それを通じて自分の暮らしや社会について深く考え、自分の生き方や価値観を磨きながら、より豊かな生活やよりよい社会づくりに向けて、主体的に行動できる態度を養う教育である。

(参考)金融教育の狙いと基本的性格 | 知るぽると

 

また日本証券業協会では金融経済教育を推進する研究会を立ち上げ、特に中学校・高校における金融教育の強化に向け、学習指導要領にその内容を盛り込むことを提言するなど、積極的にその活動を広げています。

次回は「知るぽると」「金融経済教育を推進する研究会」の活動から、小学生、中学生、高校生にそれぞれ活用できる金融教育のためのコンテンツを紹介しています。

>>次の記事「金融教育で子どもの「生きる力」を育む(2)」

 

[文責=くぼようこ]

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