(米国発で子どもの自主的な学習姿勢を引き出すドルトンプラン教育。日本では河合塾が幼児教室を展開している。)[画=photoAC/acworks]
オルタナティブ教育の一つ、ドルトンプランをご存じですか? 少人数制のクラスの中で、生徒への教員からの投げかけや自学・研究の支援などを通じ、自主的な学びを促進する教育法です。今日はドルトンプランについて見ていきます。
ドルトンプランとは?
ドルトンプランは、米国出身の教育者ヘレン・パーカースト氏が提唱した、子どもの自主性を重んじる教育法です。従来の一方通行・一斉型の教育方法から脱し、子ども自身の100人100色のニーズ、能力、関心に沿った授業をテーラードすることで、自立心や開発可能性を広げ、社会性や責任感を培うことを志向しています。
日本では河合塾が幼児教室を展開
1919年には教育法マサチューセッツ州ドルトンに「子どもの大学」としてドルトンプランの実験学級が創立されました。3年後の1922年にはニューヨークに移設、現在はK-12(幼稚園から高校)まで対応したスクールが、セントラル・パークの近くにあります。日本国内では河合塾が東京(代々木上原)と名古屋にドルトンプランに基づく幼児教室を展開しています。
3ステージの教育段階
ドルトンプランはK-12(幼稚園〜高校卒業)までの子どもたちを3つのステージに分けて教育します。
- K-3(幼稚園生〜小学校3年生):ファースト・プログラム
- 4〜8学年(日本の小学校4年生〜中学2年生):ミドル・スクール
- 9〜12学年(日本の中学3年生〜高校3年生):ハイ・スクール
ドルトンプラン3つの要素
ドルトンプランの教育方法を象徴する要素に「ハウス」「アサインメント」「ラボ」の3つがあります。以下のビデオはドルトンスクールNY本校のファースト・プログラム、ミドル・スクール、ハイ・スクールそれぞれのクラスの様子です。
ハウス(教室)
オランダのイエナプランにも見られるアイデアですが、ドルトンプランでは教室を「ハウス」と見立て、学習環境を重視しています。子どもたちはリラックスして授業に参加できるのと同時に、教員はハウスアドバイザーとして子どもたちの学習過程や子ども同士のコミュニティづくりを支援します。
アサインメント(契約)
アサインメントとは生徒と教員の契約を意味し、具体的には学校における日々のクラスワークや中長期のプロジェクト、宿題などを指します。アサインメントは、生徒のタイムマネジメントや組織力を向上させる仕様になっています。
ドルトンスクールNY本校のWebサイトで、アサインメントの一つが紹介されています。「革命の議論」と題したこのアサインメントでは、基本的な質問、教材の読むべき項目の指定と読み方や深い学びのためのガイダンスなどが示されています。冒頭の基本的な質問だけでも7種類あり、それなりに時間をかけて考える必要のある内容となっています。
ラボ
ラボは生徒の教員の1対1あるいはごく少人数のグループで進められる、指導や共同学習、研究やコラボレーションの機会です。ラボではアサインメントのプロジェクトについて議論したり、自身の関心領域を広げて学習したり、狙いを定め新しいトピックについて触れたり、といったことを行います。
今日はドルトンプランについて見ていきました。ネット上では、ドルトンプランはある程度の知力や自ら好奇心をバネに学習できる素質のある生徒には向いている、との日本の親御さんの口コミもありました。確かにアサインメントなどを見ても、踏み込んで問うものが多く、深い思考力が問われそうです。卒業生には俳優やアーティストも多く、自己を表現する、自分の興味を追求したい生徒には向いていると言えるかもしれません。
[文責=くぼようこ]
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