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フレネ教育とは | 時間割が無い・作文と対話を重視

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(フランスで誕生したフレネ教育は、子どもたちのペースで学習させる。興味関心に応じた自主研究と発表、自由作文とディスカッションを重視する教育法だ。)[画=photoAC/KMS

フレネ教育は1920年代にフランスの元教師 セレスタン・フレネが脱詰込教育のため提唱されました。ベルギーでは最もポピュラーな教育方法です。今日は、モンテッソーリやシュタイナー、イエナプラン、ドルトンなどと同様に、オルタナティブ教育の一つとして数えられるフレネ教育について見ていきます。

フレネ教育とは

フレネ教育の特徴は、他のオルタナティブ教育と同様に、子どもの主体性を伸ばすことに重きを置いた手法。中でも自由作文を通じた子どもの内面の表現力や探究心を伸ばす教育、作文を印刷しテキストとして教室内で共有することで、生徒間で学びを深める教育法が特徴です。

フレネ教育は主にフランスで言うところの幼稚園〜小学校(3歳〜11歳)までを対象としています。子どもたちは3〜5、6〜7、8〜11歳のクラスに分けられ、年齢の異なるグループでお互いに助け合いながら学習を進めます。

自由作文と印刷

フレネ教育の特徴である自由作文と印刷は、創始者のセレスタン・フレネが南フランスの学校に赴任した際、学習意欲が下がっている子どもたちが、散歩の時間には生き生きとし、様々な物事に興味を示したことに気づきを得て始められました。

フレネ教育では、3歳から日常の発見や思ったことを文章に認める練習をします。年次が上がると、自らテーマを決めて行う調べ学習なども始まります。子どもたちが綴った文章や研究成果は、学校内の印刷機械にかけられ、教室で配付し、生徒同士の意見交換・ディスカッションのテキストとなります。自分の作文やレポートが、クラスで共有され承認されることが、子どもの自信に繋がるとも考えられています。

対話や意見交換を重視

他のオルタナティブ教育でもしばしば見られる特徴同様、フレネ教育でも対話を重視しています。始業・終業時に行われる「朝の会」「帰りの会」や、「コンフェランス」と呼ばれる親と子どもで取り組む共同研究、全校集会などの場で、生徒たちは自らの意見を表明します。他の生徒の意見を尊重することや、適切に批判をすることも重視され、お互い異なる意見をすり合わせながら共存し・共に課題解決に取り組む姿勢が育まれます。

知識を取得・応用する力を育む

またこうした対話や意見交換の下地となるのが、フレネ教育の自由作文など日々の学習方法です。フレネ教育で子どもたちは、学んだことをただ暗記するのではなく、文章や絵に表現していきます。つまりアウトプットできる段階まで昇華させることが、日々の学習の目的なのです。

また自主研究を自らの力で進められるよう、フレネ教育学校では、教員が子どもたちが自ら調べ物をできるよう、調べた内容を正しく記録・管理できるよう指導します。また得た知識を繋げて立体的に考える・応用する力も育んでいきます。

活動計画表と1人ずつ異なる教材

フレネ教育学校では、自由作文や文法をはじめとする基礎的な学習の時間以外は、生徒自らその日1日の時間割を決め、自身のペースで学習を進めます。教材も一律ではありません。様々な教材が用意されている中で、教員のサポートを受けながら生徒自らが教材を選択し、学びます。教材には一般的な教科書はもちろん、辞書や百科事典、学級文庫や「協同学習カード」と呼ばれるもあり、様々。学習の進捗は計画表のマス目を塗りつぶす形で自ら管理し、2週間ごとにクラスで進捗を共有します。

手仕事

フレネ教育において子どもたちは、科目の学習以外にも、自然観察やスケッチ、さらには「手仕事」と呼ばれる編み物や木工、楽器や糸電話の製作などを通じた理科に通じる実験学習などに取り組みます。日本で言うところの夏休みの自由研究と同じようなもので、身近なものの製作を通じて芸術的な感性を養い、自然や科学に対する理解を深める狙いがあります。

今日はフランス発の「フレネ教育」について見ていきました。フレネ教育学校を卒業した子どもたちは、フランスでは12歳から中等教育段階のコレージュに進学することとなります。

フレネにおける優れた点は、子どもたちにアウトプットを癖づけることで知識を深く落とし込めること。そのために子どもたちの興味や関心を中心にすえ、主体的な学びを支援していることがわかりました。

[文責=くぼようこ]

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