(世界の教育制度に影響を与えるOECDの提言。2030年に向けた教育提言が2018年、現在進行形で取りまとめられている)[画=photoAC/akizou]
先進国間の情報・意見交換を行うための国際機関OECD(経済協力開発機構)が、2018年までのプロジェクトとして掲げているEducation2030。日本の学習指導要領改訂にもしばしば影響を与えてきたOECDの新時代に向けた教育とは。
Education2030とは
エデュケーション2030とは、OECDが推進する、新時代の教育のための事業計画のこと。
2015年からスタートし、今年2018年に一度提案内容がまとめられる予定です。予測不可能な時代、人生100年時代の到来に向け、知識・スキル・人間性をどのように育むかを検討する、というものです。
具体的にEducation2030のポイントを見ていきます。
キーコンピテンシーの見直し
OECDでは、教育を通じ子どもに育むべき力の中で最も重要な力を「キーコンピテンシー」と呼び、①個人と社会との相互関係(コミュニケーション能力や情報活用力) ②他者との相互関係(協調や協働) ③自律性と主体性 の3つがあるとしています。
しかし社会の変化が加速している中、再考が必要と考えられています。これを「21世紀型コンピテンシー」などと呼びます。
キーコンピテンシーを考えるだけではなく、教育現場で十分に活用できるよう、現在のアカデミックな表現からブラッシュアップすることも検討されています。
言葉の定義の統一
次世代のためのキーコンピテンシー見直しにあたっては、EUやユネスコ、民間企業など、さまざまな国際機関や団体から提言が上がっています。
しかしそれらの提言を見ると、同じ言葉を使っていても提言する研究者や専門家によって、言葉の使い方や定義が異なります。
そこでOECDでは、さまざまな提言を比較し、共通言語を作ることを目標としています。
多面的な評価の導入
AIやテクノロジーが発達すれば、ただ知識を「暗記」し再生することは重要でなくなります。
従来の教育現場では、知識を詰め込み試験の場で正確に再生することが求められていましたが、自主的に学ぶ姿勢・態度をはじめ、態度や価値といった数値では測れない要素も重視することとしています。
4つの基準
キーコンピテンシーを見直すにあたって、基準とされるのは以下の4つ。
- Relevant:2030年の社会でも価値のあるものか
- Impactful:本当に重要か、生徒の将来に有益か
- Malleable:教育によって変えられるものか
- Measurable:測定可能か(数量的あるいは非数量的に)
今日はOECDエデュケーション2030について見ていきました。
[文責=くぼようこ]
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