(EUの成長戦略の中で"教育"の重要性が今改めて問われている。学生・教職員の国際交流・学術協力を推進する奨学金制度エラスムス・プラスに注目。)[画=photoAC/acworks]
グローバルの舞台で留学・研究をしたいと考える人にとって、高い授業料の助けになる奨学金は非常に重要です。今日はEUを中心に設けられている奨学金制度「エラスムス・プラス」を紹介。日本人も一部利用可能です。
エラスムス・プラスとは
「エラスムス・プラス」とは、EUにおける教育・訓練・青少年・スポーツ分野の水準を向上させる奨学金プログラムです。
EU加盟国の学生や教職員を主な対象とし、2014-2020年の7年間で147億ユーロをかけ取り組まれ、のべ200万人が留学奨学金の恩恵を得ることができるとされています。
Europe2020戦略
エラスムス・プラスは、EUが打ち出している成長戦略「Europe2020戦略」の重点施策の一つです。
JETROの資料によると、Europe2020では、経済やEUの弱体化、世界的競争力の低下など、今後EUが抱えると考えられる課題に対しいくつかの目標と方針が示されています。
目標として定められているのは、教育水準や就業率の向上、研究開発投資の促進、温室効果ガスの削減、貧困削減の5つ。
特に教育・訓練・生涯教育の領域では、さらに学生や研究者のモビリティ(留学などを含む移動)を促進することが重視されており、エラスムス・プラスがそのための資金提供の仕組みとして立ち上がりました。
エラスムス・プラス8つの事業
エラスムス・プラスは以下8種類の奨学金プログラムの総称です。特に修士課程に置いて共同学位プログラムを支援するするエラスムス・ムンドウスは、一定の成果を残したとして評価されています。
コメニウス…学校教育
エラスムス…高等教育
エラスムス・ムンドウス…共同修士学位プログラム
レオナルド・ダ・ヴィンチ…職業訓練
グランドヴィグ…成人教育
ユース・イン・アクション…青少年を対象としたノンフォーマル教育とインフォーマル教育
ジャン・モネ…EU研究
スポーツ
日本におけるエラスムス・プラスの対象者、プログラム
EUの制度と聞くと、日本人には縁遠い印象を持ちますが、エラスムス・プラスを利用できるのはEU加盟国と「パートナーシップ・カントリー」と呼ばれる国の2種類があます。日本はそのうちのパートナーシップ・カントリーの1つです。そこで、日本人も部分的ながらエラスムス・プラスの奨学金制度を利用することが可能です。対象となるのは以下のとおり。
・国際単位移動プロジェクト…EU内の大学と日本の大学で結ばれた短期留学プログラムに関する協定に基づき、3~12ヶ月間、追加授業料なしに学生と教職員が留学することができます。学生は留学先の大学で取得した単位は、日本の大学でも単位と認められます。
・修士課程の共同学位(ジョイント・ディグリー)…EU-日本の大学間での修士課程におけるジョイント・ディグリー、ダブル・ディグリープログラムを推進します。
・ジャン・モネEU研究コース…EUに関する研究に取り組む研究所設立のための助成金が出資されます。
なお、2018年のエラスムス・プラスの公募は2月で終了しています。もし興味がある方は来年2月からの公募をチェックしては如何でしょうか?
[文責=くぼようこ]
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